かんしゃくを起こすのですが・・・
具体的なつまずきの例
としお君は、気に入らないことがあるとすぐにかんしゃくを起こします。先生がなだめると余計に興奮して「うるせえなあ」などの乱暴なことばを繰り返します。
そこで、先生はアセスメント(子どもの様子をじっくりと見て、どんなことがこのつまずきに関連しているかを考えること)をしてみました。
担任の先生は、このような乱暴な行動が認められるようになった経過など気になっていることを整理しました。その結果、としお君は1年生の頃から落ち着きがなかったこと、家庭や学校ではしばしば叱責され、周囲からは否定的に見られていたこと、最近は「どうせだめだよ」などのことばをよく口にしていることが分かりました。
ここで行われたアセスメントのポイント!
- これまでの経過を十分に考慮して問題の要因や背景を整理することが大切。目につくような行動だけではなく、普段の何気ない言動にも注目して総合的に実態把握をする
推測できるつまずきの要因
- これまでの不適切な対応による自己評価や自尊感情の低下
- 感情や行動の抑制/コントロール、セルフモニタリング(自己の行動を振り返ること)の困難
- 現在の状況を把握する力の弱さ
指導編
具体的な指導・支援の例
アセスメントに基づいて、担任の先生は、次のような指導を行ってみました。
- 気持ちを十分に受け止めて落ち着くまで冷静に待つ。落ち着いたら一緒に状況を整理しどうすべきだったかを考える
- 子どもが気持ちを落ち着かせる場所を用意する
- 学校全体で対処法について考え共通理解を図る
- 不注意等の特性に配慮して、子どもが成功体験を積めるようにしたり、できたことを十分にほめたりする
行った指導・支援の意味
気持ちを十分に受け止めて落ち着くまで冷静に待つ。落ち着いたら一緒に状況を整理しどうすべきだったかを考える
かんしゃくを起こしたときに厳しく叱責するのはもちろんのこと、優しくなだめたりすることも逆効果になる可能性があります。優しく接することでその行動が強化されるからです[A]。
子どもが気持ちを落ち着かせる場所を用意する
かんしゃくを起こした場所や人が大勢いるような場所では気持ちを落ち着かせることが難しいことがあります[B]。
学校全体で対処法について考え共通理解を図る
興奮が強くなるとその勢いで教室を飛び出してしまうことがあります。そのような場合、担任一人では問題に対処できないこともあります[C]。
不注意等の特性に配慮して、子どもが成功体験を積めるようにしたり、できたことを十分にほめたりする
不注意等による失敗がかんしゃくの引き金になることがあります。そこでDにより失敗を減らして、反対に子どもが成功体験を積める機会を増やします。またよくできたことを子どもが意識していない場合もあるので、できる限りフィードバックし、十分な賞賛を与えるようにします。
【文責:玉木 宗久】