ほかの人がしていることをじゃましてしまうのですが・・・
具体的なつまずきの例
しげと君は、順番を守らずに割り込んだり、ほかの子どもが使っている道具に興味をもつと、急に取ったりします。そのため、友だちとけんかになってしまうことがありました。
そこで、先生はアセスメント(子どもの様子をじっくりと見て、どんなことがこのつまずきに関連しているかを考えること)をしてみました。
担任の先生は、まず、しげと君が決まりをきちんと理解しているかどうかを調べました。その結果、しげと君は「順番を守る」「ものを借りるときは断って、許可を得てから」などの決まりを知ってはいましたが、守れない場面の多いことが分かりました。
ここで行われたアセスメントのポイント!
- 当たり前と思われる慣習的な決まりを知らないということがある。また、決まりを知っていても決まりの守り方が分からないこともあるため、子どもが自分自身をコントロールするためにどのような知識やスキルを持っているかを確かめることが大切
推測できるつまずきの要因
- 行動や欲求の抑制及びコントロールの困難
- セルフモニタリング(自己の行動を振り返ること)の困難
指導編
具体的な指導・支援の例
アセスメントに基づいて、担任の先生は、次のような指導を行ってみました。
- 厳しく叱らずに寛容に受けとめ、どのようにすればよいのかを静かに伝える
- どのように対処するかあらかじめ考えておき一貫した態度をとる
- 何かやりたいことがあるときに手を挙げたり、カードを提示したりして助けを求める方法を子どもと一緒に考える
行った指導・支援の意味
厳しく叱らずに寛容に受けとめ、どのようにすればよいのかを静かに伝える
衝動的な行動は結果としてほかの人に対しての妨害に結びつくことがありますが、子どもは自覚していないことがあります。Aのように子どもの気持ちを受けとめながら、その場面、場面で自分の行動を振り返りコントロールしていくきっかけをつくっていきます。
どのように対処するかあらかじめ考えておき一貫した態度をとる
予期せぬ妨害に対して先生やほかの子どもたちはいらいらするかもしれません。しかしそのときどきの感情にまかせて叱責や強制を強いることはかえって逆効果です。そうならないよう、Bにより一貫性のある毅然とした態度がとれるようにします。
何かやりたいことがあるときに手を挙げたり、カードを提示したりして助けを求める方法を子どもと一緒に考える
Cのように子どもが自分自身で衝動を抑えて集団の決まりを守れる方法を子どもと一緒に考えます。子どもは自分でできることや先生の手助けを明確に意識できるようになります。また、ほかの子どもたちはそのやりとりの様子(合図があったときに先生がかかわる)を知ることで、活動の流れを予測でき、いらいらを感じることが少なくなります。
【文責:玉木 宗久】