コミュニケーションを促すための指導・支援

 自閉症のある子どもは、他の人の言っていることがよく分からないことや、自分の気持ちや望んでいることを他の人にうまく伝えられないことが多く、このことが孤立感や強い不安、情動の不安定につながります。そして、他者との交流を避け、パニックや自傷行為の誘因になることもあります。本人の心理的な安定やパニックの予防等のためにも、自閉症のある子どもにコミュニケーションを促すことが大切です。
 しかし、多くの自閉症のある子どもは、なんとか自分の気持ちや要求を伝えようとしてもうまくいかず、その失敗体験から他の人とコミュニケーションを取ろうとする意欲が非常に低下した状態になっています。
 コミュニケーションを促すためには、本人がコミュニケーションに成功する体験を積み重ねることが基本になります。すなわち、突然の発声や手をたたく等の行動を含め、独特な言い回しや行動等によって本人が伝えようとしていることを、周囲の大人ができるだけ理解し、それに応えていくことから支援が始まります。また、本人の興味・関心のある事柄を見つけ、それを基にすることでコミュニケーションが広がっていきます。これらのことにより、自分の思いや要求が他の人に伝わることを知り、コミュニケーションをしていこうとする意欲が湧いてきます。


【文責:岡本 邦広(「教育支援資料」を参考)】