当研究所の研究
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【45】小中学校等における発達障害のある子どもの教科教育等の支援にどのように取り組むか
- 段階
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小学校段階
中学校段階 - カテゴリ
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子どもの特性、実態把握に関すること
指導法・支援方法に関すること
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平成22年度 重点推進研究「小・中学校等における発達障害のある子どもへの教科教育等の支援に関する研究」より
キーワード:発達障害、通常の学級、教科学習、授業改善
【この論文では】
発達障害のある子どもは、その認知特性や注意の問題、行動面の特徴などから、通常の学級における教科学習等において困難が見られることが少なくありません。失敗経験や不安の多い環境では、学習意欲は低下し、学習への不全感は自己評価の低下を招き、さまざまな二次的障害による不適応の原因につながる場合も見られます。どのように取り組めばよいのか具体的に示す、事前に示し見通しを持たせる、聞く・話す・書く・考えるなどの時間を確保する、扱いやすい教材・教具を準備するなどの支援が重要となります。また、学校や学級は集団で生活する場であり、発達障害のある子どもは学習環境の刺激にとても影響されやすい面もあります。
それでは、発達障害のある子どもが通常の学級において、落ち着いてそして安心して学習に取り組めるようにするためには、どのような支援を考えればよいのでしょうか。
通常の学級において、発達障害のある子どもへの個別的な配慮や支援を行うためには、落ち着いて学ぶことができる学級集団の在り方も含めて考える必要があります。学級全体が落ち着いて学ぶことができる学習環境であれば、どの子どもにとっても学びやすい学習環境ということになります。そのためには、わかりやすい授業づくりや認め合 う学級づくりが大切になります。学級全体へのわかりやすい支援が、発達障害のある子どもにとってもわかりやすい支援になり、また、発達障害のある子どもへの個別的な支援が、学級全体へのていねいな支援になると考えられることから、通常の学級における授業づくり、学級づくりは特別支援教育の大きな基盤になると考えられます。
本研究では、小・中学校等における発達障害のある子どもの通常の学級における教科教育等の支援の在り方について研究を行いました。特別支援教育について力量のある教員による特別な指導ではなく、より多くの教員が日常の授業や学級経営の中で、負担感なく支援に取り組むことができることに重点を置いています。教員の自己チェックにより、わかりやすい授業づくりを行う支援ツール(学級サポートプラン)を教育現場に提供することを目的としています。
【研究をして見えてきたこと】
学級サポートプランは、教員の自己チェックによりできるだけ簡便にそして負担感なく、わかる授業づくりや学級づくりを行うための支援ツールです。「計画(Plan)→実践(Do)→評価(Check)→改善(Action)」に従い、効果的な支援を実施していくためのプロセスを援助するものです。
-学級全体への支援の視点-
実態把握のチェックは学級の子ども全員に実施します。一人一人についてていねいな見取りをすることは、課題が目立つ子どもだけでなく、あまり意識していなかった子どもへの気づきを促します。
-チェックがデータとして見える-
情報が多いほど整理が難しい場合も出てきます。チェックの結果が、情報をまとめ支援の方向性をある程度決めていくための、客観的なデータとして見えるようにしています。
-自己チェック、複数によるチェック-
教員による自己チェックで進めていきますが、校内体制や学年体制の複数で活用していくことも望まれます。また、外部の専門家からも指導・助言を受けることにより有用性が高まると思われます。
-わかる授業づくり-
授業のチェックは、自分の指導を客観的に見る指標となります。授業研究の機会等を利用してお互いにチェックすることにより、指導力を高め合うという学校全体の意識の高まりにつながります。
-アセスメントから具体的な支援へ-
支援の手だてを項目として挙げることで、具体的な支援方策を立てやすくしています。週数時間程度でも一定期間継続して実施することが大切です。
【研究組織】
研究代表者 笹森洋樹
研究分担者 久保山茂樹 ・ 渥美義賢 ・ 梅田真理 ・ 大城政之 ・ 海津亜希子 ・ 伊藤由美
廣瀬由美子 ・ 玉木宗久 ・ 涌井 恵 ・ 藤井茂樹 ・ 小林倫代 ・ 小松幸恵
【研究課題名】
「小・中学校等における発達障害のある子どもへの教科教育等の支援に関する研究」(平成20~21年度)【もっと詳しくお知りになりたい場合は】
この論文は、研究所webページにて全文掲載されています。
http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_c/c-83.pdf
【本研究紹介シートの文責】笹森 洋樹
本研究紹介シートは、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所で行った研究を基に作成しています。