授業中や座っているべきときに席を離れてしまうのですが・・・(※関連動画あり)
関連動画
こちらも併せてご覧ください。― 研修講義「(7)授業中や座っているべきときに席を離れてしまう子」
具体的なつまずきの例
ゆうじ君は、小学1年生の活発な男の子ですが、授業中や座っているべきときに自分の席を離れてしまうことがよくあり、先生からいつも注意をされています。
そこで、先生はアセスメント(子どもの様子をじっくりと見て、どんなことがこのつまずきに関連しているかを考えること)をしてみました。
ほかの子どもがやっていることや持っているものが気になったり、掲示物に興味をもったりすると、それにひきつけられるように、つい立ち歩いてしまうようです。席に戻るように言うと、その指示には従うことはできますが、すぐまた同じような行動をとってしまいます。
ここで行われたアセスメントのポイント!
- どんな教科やどんな活動のときに離席等がみられるのか、丁寧にみていく
- ことばによる指示で行動を訂正できるのか、あるいはことばによる指示を何回か繰り返すとできるのか、補助がつかないと行動をコントロールできないのか等、条件を変えて実態を把握する
- 集中できることがあるはずなので、それを見つけ出す
推測できるつまずきの要因
- 視覚的あるいは聴覚的な刺激に影響を受けやすい
- 集中できる時間が短い
- 指示の内容を理解していない
指導編
具体的な指導・支援の例
アセスメントに基づいて、担任の先生は、次のような指導を行ってみました。
- 座席は窓側を避け一番前にする
- 授業中は、黒板だけが見えるように教室前面にカーテンをつける
- 全体に対する指示の場合も、必ずゆうじ君に対する個別の指示を組み合わせる
- 指示をなるべく具体的にする
- 授業を、読む・考える・操作する・書くというように流れを一定にし、それぞれ一つの作業を短時間で構成する
- 休み時間などに十分に体を動かす
- 立ち上がりそうなときにプリント配布の仕事を手伝ってもらうなど、ときには立ち歩きを認める
行った指導・支援の意味
座席は窓側を避け一番前にする
授業中は、黒板だけが見えるように教室前面にカーテンをつける
AとBは刺激の調整です。掲示物、外の景色、ほかの子どもの行動などの影響を受けやすいので、なるべく目に入らないようにする必要があります。できる範囲で工夫したいものです。
全体に対する指示の場合も、必ずゆうじ君に対する個別の指示を組み合わせる
指示をなるべく具体的にする
CとDは指示に関する配慮です。指示が分かっていない場合があります。全体の指示は自分に対するものではないと思ってしまうのかもしれません。必ず個別に指示するようにします。
授業を、読む・考える・操作する・書くというように流れを一定にし、それぞれ一つの作業を短時間で構成する
一つの作業に集中できる時間は、ほかの子どもと比較すると短時間です。その意味でEのようにモジュール化の必要性があります。
着席していることができたことをきちんと評価することが大切です。例えば補助員がついてうまく行動できたときでも、担任がきちんと評価し、みんなに分かるようにすることが大事です。
休み時間などに十分に体を動かす
立ち上がりそうなときにプリント配布の仕事を手伝ってもらうなど、ときには立ち歩きを認める
Fのように身体を十分に動かしてエネルギーの発散を考えることも重要でしょう。Gのようにいつも離席を止めるだけではなく、ときには許容することが大切なこともあります。そのほかに、校長先生や養護教諭、事務職員等に、あらかじめ用意しておいた手紙を届ける等の作業も考えられます。
【文責:花輪 敏男】