指示を理解することが苦手なのですが・・・
具体的なつまずきの例
たろう君は、先生の話を聞くのが苦手です。先日も「ノートの宿題を書いたページを開きましょう」という指示に、周りを見ながらノートを出しただけでした。
そこで、先生はアセスメント(子どもの様子をじっくりと見て、どんなことが このつまずきに関連しているかを考えること)をしてみました。
担任の先生は、たろう君が話を聞くことができる時とできない時の状況の違いを観察しました。周りがうるさくても一対一で話し掛けると、その内容を理解することが多かったのですが、ちょっと複雑な内容の指示は一対一でも理解することが難しいことが分かりました。
ここで行われたアセスメントのポイント!
- 先生が指示を出しているときの子どもの様子を観察する
- 指示を理解することが難しい場面と理解できる場面との違いは何かをみる
推測できるつまずきの要因
- 聞くべき音(声)に集中できない
- 聞いた内容の理解が難しい
- 聞いた内容を覚えていられない
指導編
具体的な指導・支援の例
アセスメントに基づいて、担任の先生は、次のような指導を行ってみました。
- たろう君に近寄り、アイコンタクトをとって注意をひきながら話す
- 話に関係ある絵を用意する
- 黒板に順をおって指示内容を書く
行った指導・支援の意味
たろう君に近寄り、アイコンタクトをとって注意をひきながら話す
Aのように、子どもに近づいたり、視線を合わせたりして話すことは、自分に関係していることを話していると子どもに意識させることができます。そして、聞くべき音(声)を選択しやすくします。
クラス全員に向けた注意や指示が、クラスの中にいる自分にも向けられているとは思えず、指示が聞けない子どもがいます。アイコンタクトだけでなく、名前を呼んで注意を向けたことを確認してから話し始めるようにすることも必要です。
話に関係ある絵を用意する
黒板に順をおって指示内容を書く
BやCのように話に関係する絵や写真を示したり、板書したりして視覚的に確認できるようにすることは、聞いただけでは理解が難しい子どもにとって、分かりやすい方法になります。
上記のほかにも、先生は次のような点に配慮することが大切です
- 指示代名詞はできるだけ使わない
- 教室全体が聞きやすくなるような環境をつくる
- 話した内容を確認する
- 必要な情報を「短く・はっきり・ゆっくり」話す
- 複数の指示がある場合は、一つの指示による行動ができてから、次の指示を出す
これらの配慮は、たろう君だけでなく、クラス全員の子どもたちに有効な対応です。
【文責:小林 倫代】