筋道をおって話すのが苦手なのですが・・・
具体的なつまずきの例
たけし君は、話したいことはたくさんあるのですが、「あれがこうなって‥‥」というような指示代名詞が多く、話の内容も飛躍や言い間違いがあり、本児の言いたいことがよく分からないことがあります。
そこで、先生はアセスメント(子どもの様子をじっくりと見て、どんなことが このつまずきに関連しているかを考えること)をしてみました。
担任の先生は、たけし君の単語の理解力を調べてみました。すると単語の理解力はありましたが、伝え方に課題があることが分かりました。
ここで行われたアセスメントのポイント!
- 単語や文法を正しく獲得できているかを確認する
- ものごとを順序正しく理解しているかどうかを把握する
推測できるつまずきの要因
- 文や文章を構成する力が弱い
- 記憶力が弱い
- 性格や心理的な課題がある
指導編
具体的な指導・支援の例
アセスメントに基づいて、担任の先生は、次のような指導を行ってみました。
- たけし君が話をしていくときは、じっくりと話を聞き、たけし君が話そうとしていることを適切なことばでいい換えていく
- 指示代名詞が多いときは、いくつかの選択肢を示したり、ことばを補ったりする
- 「いつ」「だれが」「どこで」「どうした」という疑問詞を提示し、それにあわせて話をさせる
行った指導・支援の意味
たけし君が話をしていくときは、じっくりと話を聞き、たけし君が話そうとしていることを適切なことばでいい換えていく
ことばを理解しているのに、指示語が多い状態は、何らかの心理的な要因を考えることが必要です。うまく話せなくて恥ずかしい思いを重ねているとか、うまく話そうと焦ってことばが出てこないということがあるかもしれません。Aのように、じっくりと話を聞くことは、本児が話をすることに対する安心感や自信を取り戻すことになります。
指示代名詞が多いときは、いくつかの選択肢を示したり、ことばを補ったりする
Bのように、自分が思っていることばがすぐに出てこないときに、担任があてはまりそうなことばを適宜言ったり、考えられることばをいくつか提示して選択させたりすることは、話をする手がかりとなり効果的です。
「いつ」「だれが」「どこで」「どうした」という疑問詞を提示し、それにあわせて話をさせる
伝えたい内容をどのように伝えてよいか分からない子どもに、Cのように手がかりを与えて、それについて話をすることで、伝えたい内容が整理されて相手に伝わるようになります。このような経験を積んでいくことで、伝え方の学習ができます。
先生自身が自分の話し方に気をつけるとともに、質問の仕方にも配慮が必要です。筋道をおった話をすることが苦手な子どもは、順をおってものごとを整理していくことが苦手なことが多いので、話の内容だけでなく、作業の手順も一つずつ確認しながら進めていくことが重要になります。
上記のほかにも、先生は次のような点に配慮することが大切です
- 正しいことばや文で話しかける
- 子どもが話した内容について、そのポイントを整理して確認する
- 子どもが話しやすいように、実物や写真や絵などを用意する
- 発表のときには、あらかじめ話すことを書いておいてから発表させる
【文責:小林 倫代】