計算が苦手なのですが・・・(※関連動画あり)
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具体的なつまずきの例
すすむ君は計算問題が苦手で避けている様子がみられます。
そこで、先生はアセスメント(子どもの様子をじっくりと見て、どんなことが このつまずきに関連しているかを考えること)をしてみました。
担任の先生は、算数の基礎がどこまで身についているのかを確認しました。数を数えること、10までの数の概念は理解していることは分かりましたが、足し算や引き算の計算を間違えることが多く、とくに繰り上がりの筆算は、桁がずれてしまい、全て間違えていました。
ここで行われたアセスメントのポイント!
- 計算問題のどこまでは習得していて、どこでつまずいているのかを把握する
- どのようなパターンでのつまずきがあるかをみきわめる
推測できるつまずきの要因
- 数の概念を理解していない
- 記憶力が弱い
- 視覚認知(空間的な位置関係を把握すること)が弱い
- 抽象的に考えることが難しい
指導編
具体的な指導・支援の例
アセスメントに基づいて、担任の先生は、次のような指導を行ってみました。
- 一度にたくさんの計算問題をさせないようにする
- マス目のある用紙を使用し、問題を写したり、計算したりするときの位取りを分かりやすくする
- 繰り上がった数や繰り下がった数を書く場所を決めておく
担任の先生が行った指導の意味
一度にたくさんの計算問題をさせないようにする
計算問題ができないから、たくさんの計算問題を解いて習熟させようとするのではなく、Aのように計算問題を少なくすることで、計算への意欲を失わせないように配慮するのは大切なことです。
マス目のある用紙を使用し、問題を写したり、計算したりするときの位取りを分かりやすくする
視覚認知の弱い子どもには、筆算の桁をそろえることが難しかったり、数字をどこに書いたらよいのかが分からなかったりすることがあります。Bのようにマス目や枠のある用紙を使うことで、位取りや数字の位置が確定しやすくなります。
繰り上がった数や繰り下がった数を書く場所を決めておく
Cのように繰り上がった数、繰り下がった数を書く場所をはっきりさせておくことは、繰り上がり(下がり)の数を覚えていることが困難な子どもにとって有効な方法です。
計算が難しい子どもの場合、数概念に課題がなくても、計算手続きでつまずいている子どもがいます。このような子どもの場合には、計算の手順をことばで確認しながら進めることで、計算方法を習得させることができます。この方法は、計算の学習をはじめた当初はよいのですが、いつまでも声を出して作業していると、周囲の子どもに迷惑をかけるようになることもあるので、心の中で数えるように促していくことも必要です。
上記のほかにも、先生は、次のような点に配慮することが大切です。
- 具体的なものや絵や図を提示して、計算の意味を示す
- 加減乗除の記号の意味を分かりやすく伝える
- 「~より多い(少ない)」など、計算でよく使うことばを理解させる
【文責:海津 亜希子】