算数の文章題が苦手なのですが・・・
具体的なつまずきの例
ゆたか君は、筆算や暗算などの計算問題は学年相応にできるのですが、文章題では式を立てて解答することができません。そこで、先生はアセスメント(子どもの様子をじっくりと見て、どんなことが このつまずきに関連しているかを考えること)をしてみました。
担任の先生は、とても不思議に思い、どこでつまずいているのかを観察しました。すると、答えがだせているときも、文章題の内容を理解することに課題があり、自分がなぜこのように立式したかを理解していないことがわかりました。
ここで行われたアセスメントのポイント!
- 文章題で何が求められているのかが分かっているかどうかを確認する
- 解答するための式の意味が理解できているかどうかを確認する
推測できるつまずきの要因
- 記憶力が弱い
- 論理的に考えることが苦手
- セルフモニタリング(自己の現在の状況を把握する力)が弱い
指導編
具体的な指導・支援の例
アセスメントに基づいて、担任の先生は、次のような指導を行ってみました。
- 文章題を読みあげてから、問題の解決にあたらせる
- 文章題の内容をできるだけ子どもの経験した場面や興味のある題材にする
- 文章題の中で要点や鍵になることばに印をつける
- 文章のポイントを絵や図に書いて示す
担任の先生が行った指導の意味
文章題を読みあげてから、問題の解決にあたらせる
文章を目で読んで理解することが難しい子どもでも、耳で聞いて理解することができる子どももいます。このような子どもにとって、Aのように文章題を読んで聞かせてもらえることは、内容を理解しやすくします。
文章題の内容をできるだけ子どもの経験した場面や興味のある題材にする
Bのように身近な話題で問題を作成することにより、文章題が示している状況を子どもが分かり、立式の理解を進めたり、問題解決に積極的に取り組んだりすることができます。
文章題の中で要点や鍵になることばに印をつける
文章のポイントを絵や図に書いて示す
CやDのように要点に注目させたり、図式化したりすることにより、子どもは読んだ内容が忘れにくくなります。さらに、文章題の内容が理解しやすくなり、課題解決の方策を立てていきやすくなります。
先生が行った四つの指導は大切です。算数の文章題に限らず、国語の読解についても、読み聞かせたり、段落ごとの内容を要約して説明したり等同様の指導を行っていくことが必要です。
上記のほかにも、先生は、次のような点に配慮することが大切です。
- 宿題やプリントでは子どもができそうな課題に印をつけて問題の質や量を調整する
- 算数の文章題によく使われることば(全部で、あわせて、残りは等)の意味と式とをつなぐような説明を行う
【文責:海津 亜希子】