図形問題が苦手なのですが・・・
具体的なつまずきの例
としえさんは、図形問題を解くことが苦手です。低学年の頃も、様々な形の中から正三角形を探し出す弁別問題や、見本と同じように模写する課題等が苦手でした。今も見取り図の問題などは非常に苦手です。
そこで、先生はアセスメント(子どもの様子をじっくりと見て、どんなことがこのつまずきに関連しているかを考えること)をしてみました。
担任の先生は、としえさんの、書字の様子、図画工作や家庭科の時間での様子をチェックしてみました。結果、書字については、細かい誤りがみられ、図画工作でも困難さがみられました。そこで、図形等の課題について次のような指導を開始することにしました。
ここで行われたアセスメントのポイント!
- 図形問題を扱う算数だけでなく、「書く」といった点で共通性をもつ書字や、何か形を作る点で共通の図画工作等、ほかの領域にわたって実態把握を行う
- 一つの切り口からだけでは見えにくかった子どもの状態像や指導方法も、同じような力を要するほかの教科での子どもの様子や、専科の先生からの情報等とあわせることで、明らかになることも多い
推測できるつまずきの要因
- 形を正確に捉えることが難しい
- 頭の中で形を操作することが難しい
- 運動面の問題がある
指導編
具体的な指導・支援の例
アセスメントに基づいて、担任の先生は、次のような指導を行ってみました。
- なるべく言葉で説明を加えるようにする
- 具体的なものを用意して説明する
- 友だちとペアで学習させる
- 作図については厳密さを求めない
担任の先生が行った指導の意味
なるべく言葉で説明を加えるようにする
形の特徴を瞬時に、また正確に捉えることが苦手と考えられるため、Aのようにことばでその特徴を説明することで、形を弁別する際の手がかりが得られます。
具体的なものを用意して説明する
頭の中で形をイメージしたり、操作したりすることが難しい場合には、Bのように具体的なものを用意し、それを実際に操作することで、イメージが湧きやすくなります。
友だちとペアで学習させる
Cのように形態を変化させ、友だちと相談し、教えあいながら、学習を進めることで、苦手意識からくる取り組みにくさを軽減します。
作図については厳密さを求めない
このような困難さのある子どもの場合、特に作図等については厳密さを求めるには限界があります。Dのように、大まかな特徴をつかんでいれば正解や準正解にする等の配慮が必要です。
【文責:海津 亜希子】