第3回検討会議(議事要旨)
令和元年度第3回発達障害に係る教員や支援者の専門性の在り方等に関する検討会議(議事要旨)
期日 令和2年2月25日(火)午後2時30分から午後4時30分まで
会場 一橋大学一橋講堂 2階 中会議場1
委員 本田委員、日戸委員、光真坊委員、西村委員、粟野委員 (欠席)小倉委員
◎花熊委員、西尾委員、山下委員、伊藤委員、熊本委員 (欠席)山中委員
※◎は委員長
1.協議
〇協議事項1 「到達指標」について
【委員】:上級に関しては、最低でも「提案できる」というような形にしてほしい。
【司会】:受講者の到達指標ではなく研修企画者の指標として取りまとめてはどうか。「到達指標」とするよりも「指標」とした方が良いのではないかと考えている。
【委員】:「到達指標」というと、到達度を確認できる簡単な試験のようなものを用意するのが一般的だと思うが、今回はそのようなことは考えているのか。
【事務局】:今後は分からないが、今回は、特に試験を受けて資格を取る、というようなことまでは考えていない。あくまでもここまでは身に付けてほしいというのがねらい。
【委員】:中級以上の人については、部下や他機関に対してスーパーバイズ的なレベルを求めるのであれば、「提案できる」のような表現にした方が良い。また、中級・上級になるとある程度の支援事例を積み重ねることによって、部下や他機関に波及させていくというものが求められるなどを整理した方が良い。
【委員】:「到達目標」といえば受講者の立場からのものである。初級であれば、何らかの形で行動的に、表に現れるものという形での内容にしていく。
【委員】:一人の人が初級を受けて中級を受けて、上級を受けたりするものなのか。
【事務局】:講座として、初級講座、中級講座、上級講座を設けることは想定していない。
【文部科学省】:今までの議論も踏まえていくと、指標というのはやはり企画者ではなく受講者であるべきではないか。行動目標にするというのは重要なことである。初級は「帰ってみて自分で試してみる」、中級は「やれるレベルを上げる」ということだがその表現をどうするか検討が必要である。上級は「スーパーバイズできる、提案できる、アドバイスできる」ということで良いのではないか。中級は、「普通に実践するだけでなく、実態把握を適切にした上で実践できる」というイメージがある。
【委員】:中級は、「難しい事例をきちんとまとめて事例検討会の場に出せる、説明できる」ということで良いのではないか。上級は「スーパーバイズできる」ということ。提案という言葉でも良いかと思うが「助言」というキーワードを入れておくと良いと思う。
【委員】:連携・協働に関するコアカリキュラムなので、上級は他職種・他領域に対して、自分の領域を説明できることが重要である。中級は、自分の職場でのスーパービジョンができれば良いが、上級に関しては連携や協働を意識した内容が盛り込まれると良い。
【司会】:受講者を対象とした到達指標ということで再考するということと、行動的な目標となるようなキーワードを含め事務局で検討したい。また中級・上級については、他職種・他領域に対してのアプローチを盛り込むよう整理したい。
〇協議事項2 「特別支援教育(概論)」について
【委員】:この研修を実施することを想定して、例えば90分のコマで考えた時に、ボリュームとして適当かどうかという現実的な問題もある。この三つが統合された時に、一つのコマとして成立するのかどうかの検討も必要である。
【委員】:「特別支援教育体制」は、連携においては一番大事になってくる。時間的配分としては、「特別支援教育体制」のところは多い方が良い。
【委員】:共通のところで、教育が何をやっているのか、福祉が何をやっているのか、についてはどこで学ぶのか。
【事務局】:教育、福祉、保健、医療、労働についても、研修のコアカリキュラムにこれから落とすが、まず共通という土台のところから整理をしていく。例えば、共通の基礎知識のところに、相互理解のための専門性の中から、特別支援教育概論と、障害児者福祉総論、のような講座を挙げることも考えられるのではないか。
【委員】:「特別支援教育体制」を、三つ全部ひとくくりで一コマ90分が可能かどうかというと、内容が相当薄まってしまうのではないか。そこで、二つに分けた方が良いと思う。学校教育がどういう方向へ進んでいこうとしているのか、もう一つはそれを受けて学校自体がどんな特別支援教育の体制をとっているのか、ということを校内委員会やコーディネーター、個別の支援計画など、学校の具体的な支援体制を他職種の方にもご理解いただく内容とする。
〇協議事項3 「主な内容」について
【委員】:主な内容の部分は、研修をする側、講師をする側がぱっと見た時に、大体こういう順番で話しをするのだなということが分かるということが非常に大切である。
【委員】:研修を企画する側からすると、主な内容は最低限入れてくださいというように捉えていた。順番は地域によっても違うかもしれない。
【司会】:主な内容を作る時、国家資格の養成カリキュラムなどを根拠としており、重要なポイントということでおさえてあるが、並べ方については、話す順番で並び替えることも検討していきたい。
【文部科学省】:委員からの意見のように、最低限のこと、全部触れるものだと捉えていた。この項目は最低限必要な内容であるというメッセージがあれば良い。
【委員】:「発達心理」については、90分のコマの1回だけで幼児期から青年期までを触れることは厳しい。①幼児期・児童期、②青年期・成人期の二つくらいに分けた方が良いのではないか。
【司会】:あくまでこれは例なので、実際やる上で必要であれば講義・演習(協議)のようないろいろな内容を盛り込んでいただき、受講者にしっかり身に付くような形で研修を企画していただければと思っている。
【委員】:そういう意味では、全体の講座がどれくらいの中で分割していくのかという方向性が必要である。
【事務局】:今日示しているのは、一番上の共通の14の項目である。ひとコマを90分で考えているが、内容によっては、e-ラーニングのような形での実施も考えている。全体としては90分を14講座で考えており、各自治体が必要としているものからピックアップしてもらうことも考えている。
【委員】:例えば1年でやるとしたら、現場の者としては、負担感がかなり強いのではないか。
【文部科学省】:企画者のイメージの問題だと思う。1年間で終わるのではなく、2年3年かけてこの14コマをやっていくということも当然考えられる。ただ、海外の特別支援教育のスペシャリストが講義を受けている数は(当然日本と働き方は違うが)、これでも少ないくらいだと思う。そのあたりを現場の先生にも伝えていってほしい。講義を聞くだけでは、実践につながらない。講義だけになっているところは、何かしらイメージを変えていく方が良い。
【司会】:主な内容については、最低限おさえる内容をすべて網羅できるようにする。書き方、順番については、講師担当の方が話すということを意識しながら順番をつけていきたい。その他、講義の数については、再度確認をしながら最終的にまとめる。
〇協議事項4 「参考となる文献・資料」について
【委員】:DSM-5、ICD-11など、海外の公的な機関も含めても良いのではないか。
【事務局】:事務局としては、各講座のページではなく後ろにまとめて掲載したい。
【委員】:各地域の行政のセンターが出している情報にもかなり参考になるものがある。
【司会】:国が発行した公的なものを掲載ということで、それ以外のものについては掲載を見送る方向で進める。掲載方法は巻末に記載するが、その際には、関連ページもつけて明確にするというような工夫をしていきたい。
○その他の協議
【委員】:「災害対策」が抜けているのはなぜなのか。
【司会】:第2回検討会議で、「多職種連携」の講座と「事例検討」と「災害対策」を一つにまとめて、その中で個別のケースで災害や触法、虐待についてなどの事例検討をするというような整理を行った。
【委員】:主な内容の中に、災害という言葉を入れた方が良いのではないか。
【委員】:いくつかのキーワード、災害や就労、などを入れておいて、地域の方である程度実情に合わせて選択するという幅をもたせるということでも良いのではないか。
【委員】:福祉で普段から行っている、発達障害の子どもたちが災害時に避難所に行くための取組はどのようなものか。
【委員】:施設では月一回避難訓練があり、どのように避難するか、避難の時にはどう待つか、待っている間どんなことをするか、という協議を行っている。主な内容にあっても良いのかなと思うが、そのウェイトをどうするかというのはそれぞれの地域に任せても良いのではないか。
【文部科学省】:すごく重要なことであるが、講師のことも含めて必須の項目に落とし込むというのはハードルが高いようにも思う。自治体が災害基本計画を作っているので、現場にいる方は自治体の作成した計画と合わせた研修を組んで事例検討のテーマとして学んでいけば良いのでは。
【委員】:全体の研修イメージとして、なぜこの連携が必要なのか、なぜこの講義ができたのか、という大前提のところをおさえることが大事である。
【文部科学省】:二次障害という考え方で捉えるのか、併存という考え方で捉えるのか。
【委員】:厳密には併存障害の方が良いと思う。
〇次年度以降の事業計画について事務局より説明
- 教育委員会から福祉部局に連絡をとってもらうため、自治体によっては福祉部局の研修の動きの中で教育センターと一緒に学ぶチャンスはあると思うが、必ずそうしてくださいとお願いしているわけではない。そのため、福祉の方が一緒に受ける研修もあれば、教員が福祉のことをたくさん学ぶという研修もあると考えている。
- 自治体で行う研修の企画から私たち研究員が関わらせていただく。委員の先生方に参画いただける機会があれば、一緒に研修の場面を視察し、研修後の、自治体が行う協議会に参加していただくことも考えていきたい。