学習障害(LD)のある子どもの合理的配慮

 LDのある子どもには、以下のような合理的配慮が考えられます。以下は一例であり、これ以外は「合理的配慮」として提供する必要がないというものではありません。「合理的配慮」は、一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じて決定されるものであることに留意することが必要です。

 

 

  • 学習上又は生活上の困難を改善・克服するための配慮
  • 学習内容の変更・調整
  • 情報・コミュニケーション及び教材の配慮
  • 学習機会や体験の確保
  • 心理面・健康面の配慮
  • 専門性のある指導体制の整備
  • 子ども、教職員、保護者、地域の理解啓発を図るための配慮
  • 災害時等の支援体制の整備
  • 発達、障害の状態及び特性等に応じた指導ができる施設・設備の配慮 

 

学習上又は生活上の困難を改善・克服するための配慮

 読み書きや計算等に関して、苦手なことをできるようにします。また、別の方法で代替したり、他の能力で補完する等の指導を行ったりします。(例:文字の形の見分け、パソコン、デジカメ等の使用、口頭試問による評価 等)

 

学習内容の変更・調整

 「読む」「書く」等特定の学習内容の習得が難しいので、基礎的な内容の習得を確実にすることを重視した学習内容の変更・調整を行います。(例:習熟のための時間を別に設定、軽重をつけた学習内容の配分 等)

 

情報・コミュニケーション及び教材の配慮

 読み書きに時間がかかる場合、本人の能力に合わせた情報を提供します。(例:文章を読みやすくするための体裁の変更、拡大文字を用いた資料の提示、振り仮名をつける、音声やコンピュータの読み上げ、聴覚情報を併用して伝える 等)

 

学習機会や体験の確保

 身体感覚の発達を促すために活動を通した指導を行います。(例:体を大きく使った活動、様々な感覚を同時に使った活動 等)また、活動内容を分かりやすく説明して安心して参加できるようにします。

 

心理面・健康面の配慮

 苦手な学習活動があることで自尊感情が低下している場合は、成功体験を増やしたり、友達から認められたりする場面を設けます。(例:文章を理解すること等に時間がかかることを踏まえた時間延長、必要な学習活動に重点的な時間配分、受容的な学級の雰囲気作り、困ったときに相談できる人や場所の確保 等)

 

専門性のある指導体制の整備

 特別支援学校や発達障害者支援センター、教育相談担当部署等の外部専門家からの助言等を生かし、指導の充実を図ります。また、通級による指導といった学校内の資源の有効活用を図ります。

 

子ども、教職員、保護者、地域の理解啓発を図るための配慮

 周囲の児童生徒、教職員、保護者に対して、LDの特性として、努力によっても変わらない苦手なことや生まれつき得意なこと等、様々な個性があることや特定の感覚が過敏な場合もあること等の理解啓発に努めます。

 

災害時等の支援体制の整備

 指示内容を素早く理解して記憶することや、掲示物を読んで避難経路を理解することが難しい場合等を踏まえた避難訓練に取り組みます。(例:具体的で分かりやすい説明、不安感を持たずに行動ができるような避難訓練の継続 等)

 

発達、障害の状態及び特性等に応じた指導ができる施設・設備の配慮

 類似した情報が混在していると、必要な情報を選択することが困難になるため、不要な情報を隠したり、必要な情報だけが届くようにしたりできるように校内の環境を整備します。(例:余分な物を覆うカーテンの設置、視覚的にわかりやすい表示 等)