会話が発展しないのですが・・・
具体的なつまずきの例
やすお君は、ほかの子どもたちとうまく会話をやり取りすることができません。 そこで、先生はアセスメント(子どもの様子をじっくりと見て、どんなことがこのつまずきに関連しているかを考えること)をしてみました。
ほかの子どもたちや先生に、自分の好きなゲームのことについて一方的に話をしたり、会話中に相手の方を見ていなかったり、突然話題を変えたりすることが多くみられます。最近では、やすお君の話題を友達が取り合ってくれないことも出てきました。
ここで行われたアセスメントのポイント!
- やすお君だけでなく、周りの子どもを含めたお互いのやり取りについて検討する
推測できるつまずきの要因
- 相手の表情や仕草から、相手がどのように感じているのかを理解することが難しい
- 会話がやり取りであるというルールを理解していない
- 会話の基礎的なスキルを獲得していない
- 興味に偏りがあるため、会話の話題の選択に問題がある
指導編
具体的な指導・支援の例
アセスメントに基づいて、担任の先生は、次のような指導を行ってみました。
- 話しかける前や話題を変えるときには、一言確認することを教える
- 自分の興味のある話だけしないで、相手の意見を聞くように教える
- 休み時間など時間があるときに、担任がやすお君が好きな話題について話しかけ、一緒に楽しく話す時間をつくる
- 両親、本人の了解を得て、周りの子どもたちに本児についての理解を促す機会をもつ
- 周りの子どもたちと一緒に、相手を傷つけない断り方や話し方を学ぶ
行った指導・支援の意味
話しかける前や話題を変えるときには、一言確認することを教える
自分の興味のある話だけしないで、相手の意見を聞くように教える
AやBのように会話の基本的なスキルを教えることで、形式的な方法を身につけられますが、場面に応じた対応ができづらく、場面に応じて繰り返し教える必要があります。
休み時間など時間があるときに、担任がやすお君が好きな話題について話しかけ、一緒に楽しく話す時間をつくる
Cのように、本児の興味のある話を聞く機会や興味のある話にあわせた会話を行うことで、本児が安心して話をする機会が得られることになります。
話をした後に、ときどきこうじ君に話の内容や状況について確認する
Cのように確認したり説明したりすることで、誤った理解を修正することができます。
両親、本人の了解を得て、周りの子どもたちに本児についての理解を促す機会をもつ
可能であればDのように、周りの子どもたちの理解を促すことにより、友達関係を調整することが可能となります。ただし、周りの子どもたちにも、不満や正直な気持ちを表出させる機会を設定することが必要となります。
周りの子どもたちと一緒に、相手を傷つけない断り方や話し方を学ぶ
Eのように、本児だけでなく周りの子どもたちと適切な会話のスキルを共有することで、本児の会話のスキルだけでなく、本児の会話に対する対応の仕方を周囲の子どもたちに気づかせる機会をつくることができます。
【文責:佐藤 克敏】