令和元年度 発達障害支援の地域連携に係る全国合同会議

 令和2年2月12日(水曜日)に文部科学省において、「発達障害支援の地域連携に係る全国合同会議」が開催されました。本会議においては、発達障害のある児童生徒に対する支援の充実を図ることを目的とし、特別支援教育関係事業等の取組事例の報告や意見交換がなされました。

  • 日時
    令和2年2月12日(水)10:20~16:30
  • 会場
    文部科学省 講堂 
  • 参加者
    都道府県及び指定都市 教育委員会担当者・福祉担当者 等 

 

  • プログラム
    (1)行政説明
     ①文部科学省初等中等教育局特別支援教育課
      「特別支援教育行政の現状及び令和2年度事業説明」
     ②厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課障害児・発達障害者支援室
      「令和2年度厚生労働省発達障害者支援施策について」
     ③国立特別支援教育総合研究所発達障害教育推進センター/国立障害者リハビリテーションセンター企画・情報部発達障害情報・支援センター
      「発達障害に係る教員や支援者の専門性の在り方等に関する取組」  

    (2)教育と福祉の連携について
     文部科学省初等中等教育局特別支援教育課/国立特別支援教育総合研究所
     「教育と福祉の連携について」

    (3)質疑応答
     会場からは、厚生労働省における発達障害者支援施策の具体的な内容などについての質疑応答がありました。

    (4)事例発表
     ①「通常学級におけるICT×インクルーシブ教育」
     〔発表者〕
      東京学芸大学附属小金井小学校 教諭    鈴木 秀樹 氏
      東京学芸大学附属小金井小学校 養護教諭  佐藤 牧子 氏
     〔概要〕
      東京学芸大学附属小金井小学校における取組として、ICTを活用したインクルーシブ教育システムの推進について説明がなされました。具体的には、「大学との連携」、「企業との連携」、「保護者との連携」の各トピックスに関する取組が紹介され、最後にまとめとして、連携を築く上での要点が述べられました。
      具体的に、「大学との連携」については、東京学芸大学と連携した読み書きのアセスメントや、東京大学と連携した障害の社会モデルを伝えるための紙芝居に関する取組について紹介がなされました。「企業との連携」については、マイクロソフト認定教育イノベーターとして無償で利用できる会場や、技術ノウハウ、人的繋がりを活用した取組が挙げられました。「保護者との連携」については、保護者や児童、学校、関係機関、企業などから成る支援チームを形成して児童の指導支援にあたっていることや、保護者に対して印刷物や保護者会、外部講師による保護者講演会、ワークショップなど通して啓発活動を行い、連携を図っていることが紹介されました。

     ②「山口県における切れ目ない支援体制整備の取組について」
     〔発表者〕
      山口県教育庁特別支援教育推進室 指導主事  真部 信吾 氏
     〔概要〕
      山口県における発達障害の可能性のある児童生徒等に対する支援事業について説明がなされました。具体的には、「特別支援学校のセンター的機能充実のための体制整備」、「早期からの切れ目ない支援体制の充実に向けた取組」、「進学・就労に係る連携」に関する取組がそれぞれ紹介されました。
      「特別支援学校のセンター的機能充実のための体制整備」については、県内の特別支援学校内に特別支援教育センターや視覚障害教育センター、聴覚障害教育センターを設置し、地域の特別支援教育の推進を進めていました。また、高等学校における特別支援教育を推進するために拠点校を設置し、各校の特別支援教育推進教員が地域の支援体制の整備を進めていました。「早期からの切れ目ない支援体制の充実に向けた取組」については、各地域で開催されている関係機関連携協議会や、地域で活用できるリソースをまとめたリソースマップが紹介されました。「進学・就労に係る連携」については、進学・就労に関する関係機関連携協議会の開催や、総合支援学校就職支援コーディネーターの配置などの取組が挙げられました。

     ③「発達障害の可能性のある児童生徒等に対する支援事業」
     〔発表者〕
      鹿児島県教育委員会 指導主事  有田 成志 氏
      鹿児島県教育委員会 指導主事  染川 功次 氏
     〔概要〕
      鹿児島県の本事業に取り組む背景(課題意識)として、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」の施行、支援を必要とする児童生徒数の増加、「切れ目ない支援体制」の構築が挙げられていました。そこで、合理的配慮の提供の充実と一貫した支援体制づくりを目的とし、切れ目ない支援の充実、研究協力校と県教育委員会、外部有識者、企業関係者等による就労支援に関する連携協議会の開催を通しての取組等の報告がなされました。
      具体的には、「移行支援シート」等の活用による学校間連携の充実、合理的配慮の事例収集・情報発信についての紹介がなされました。また、高等学校における就職支援の充実を目指した取組として、「自分の得意・不得意気づきシート」、「サポートシート」及び「就職支援シート」を活用した生徒の自己理解と、就職後の合理的配慮の提供に結び付く実践事例の紹介の報告がなされました。

     ④「ICF(国際生活機能分類)を活用した地域支援体制づくり」
     〔発表者〕
      愛知県碧南市福祉こども部福祉課 福祉課長    杉浦 浩二 氏
      愛知県碧南市福祉こども部福祉課 発達支援係長  鈴木 信恵 氏
     〔概要〕
      愛知県の碧南市では、発達障害児支援の充実に向けて、市をあげての取組が進められており、平成29年度に福祉課に発達支援係が設置されるなど発達支援体制の構築に力を入れているが、実際には子どもの困難さの解決につながらないケースがあることが課題であるとの説明がなされました。そこで、子どもの共通理解や関係機関の連携のためのシステムの構築を目指すことに取組まれ、その報告がなされました。
      具体的には、ICF研修とモデルケースへのICFツール(碧南市事業での呼称:ICF情報把握・共通システム)の活用についての取組が紹介されました。モデルケースへのICFツールの活用では、支援会議において支援関連情報の把握や関係者間での情報共有、効果的な支援検討といった実践を行った取組についての報告がなされました。

    (5)ディスカッション
     文部科学省初等中等教育局特別支援教育課特別支援教育調査官の田中裕一氏と、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課障害児・発達障害者支援室発達障害施策調整官の田中尚樹氏、そして事例を発表された各発表者が登壇し、「他機関との連携」をテーマにディスカッションが行われました。フロアにおける参加者同士の意見交換も行われ、活発に議論がなされていました。
  • 主催
    文部科学省初等中等教育局特別支援教育課
    厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課障害児・発達障害者支援室
    独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
    国立障害者リハビリテーションセンター企画・情報部発達障害情報・支援センター
以上