予定の変更に対処できないのですが・・・
具体的なつまずきの例
運動会の練習が始まり、数日前からとみお君が登校を渋るようになりました。
そこで、先生はアセスメント(子どもの様子をじっくりと見て、どんなことがこのつまずきに関連しているかを考えること)をしてみました。
とみお君の様子を記録していくと、学年全体で運動会の練習を行うため時間割を変更した日に、それが重なることに先生は気づきました。いつもは自分ですぐ体操服に着替えはじめるとみお君が、時間割を変更して運動会の練習を行う場合は、着替えにとりかかる様子がありません。また、大方の友だちが着替えをすませ教室から出て行くことに気づいたり、友だちが強い口調で「運動会の練習だよ、早く」と声をかけられたりしてあわてて着替えはじめるため、練習に遅れ叱られることが多くなっていました。
ここで行われたアセスメントのポイント!
- 子どもの様子を記録することで、不安定になっている日と、その状況について把握する
推測できるつまずきの要因
- 決められたことへのこだわりがある
- 予定が変更されると、活動の見通しがもちにくい
- ことばによる説明だけでは注意の集中が持続できず、情報を捉えることが難しい
- 学級の子ども全員に説明された場合、自分も含まれているということが分からない
指導編
具体的な指導・支援の例
アセスメントに基づいて、担任の先生は、次のような指導を行ってみました。
- 時間割を変更する場合は、変更する時間の直前になって知らせるのではなく、少なくとも前日までに伝え、さらに当日の朝、再度説明する
- 時間割の変更は口頭だけではなく、学級に表示されている通常の時間割を用いると同時に、変更後の時間割を視覚的に確認できるように明示し説明する
- 時間割の変更を伝えるときは、「大事なことを話します。とみお君も聞いてね」とことばを添えた上で、子ども全員に説明する
行った指導・支援の意味
時間割を変更する場合は、変更する時間の直前になって知らせるのではなく、少なくとも前日までに伝え、さらに当日の朝、再度説明する
決められていることにこだわりがあるので、Aのように予定の変更を早くから知らせ、それを繰り返すことで、予定の変更を受け入れやすくして、活動の見通しをもてるようにすることが可能になります。
時間割の変更は口頭だけではなく、学級に表示されている通常の時間割を用いると同時に、変更後の時間割を視覚的に確認できるように明示し説明する
子どもの情報の入手方法の特徴を把握して、Bのように聴覚的な情報だけではなく、視覚的な情報も用いることで、情報をより確実に捉えることができるようになります。
時間割の変更を伝えるときは、「大事なことを話します。とみお君も聞いてね」とことばを添えた上で、子ども全員に説明する
学級の子ども全員に説明する際に、Cのように子どもの名前を入れて話かけることで注意を促し、先生の話を聞くことに集中するようになることが期待できます。こうした指導で十分でない場合は、さらに次のように配慮することが考えられます。
I. 個別に変更の説明を行い、その際はBで用いたものを利用しながら説明すると同時に、本児にノートに書いてもらい、いつでも確認できるようにする。
II. 家庭と連絡を取り、保護者からも説明してもらう。その際に、本児のノートを利用しながら説明してもらうようにする。
I やII のように、変更した時間割をノートに書くことで、視覚的な情報を定着させ、自分一人でも確認できるようになったり、家庭で保護者と一緒に時間割の確認を行ったりすることが容易にできるようになります。
【文責:大柴 文枝】