発達障害者支援関係報告会


 平成29年2月2日(木曜日)に厚生労働省において、「発達障害者支援関係報告会」が開催されました。本事業では、乳幼児期から成人(青年)期における発達障害児・者の支援体制の整備・強化に向けて、医療・福祉・労働・教育の関係機関の連携による取組について報告がなされました。

  • 日時・会場
    平成29年2月2日(木曜日) 午後1時~午後5時
    会場:文部科学省 第二講堂

  • 参加者
    都道府県及び政令指定都市 教育委員会担当者・福祉部局担当者
     
  • プログラム
    1.文部科学省行政説明 「特別支援教育行政の現状と課題」(PDF: 2,096KB)
    2.厚生労働省行政説明 「発達障害者支援法の改正、発達障害者支援施策、第5次障害福祉計画案 等」(PDF: 1,385KB)
    3.事例報告(前半)
    ①「発達障害児早期支援体制整備及び巡回支援専門員整備の取組について」(PDF: 1,296KB)
     〔発表者〕
       宮城県松島町児童館館長            伊藤 かおる氏
       宮城県保健福祉部障害福祉課在宅支援班主任主査 川越 聡一郎氏
     〔概要〕
     宮城県における発達障害児(者)の支援体制に関する課題の一つとして、保護者が子どもの特徴に気付き、相談や支援を受けることが身近な地域では困難な場合があることがあげられていました。そこで、早期療育による二次障害の予防と地域における発達障害の相談体制構築を目指すことに取組まれ、その報告がなされました。
     具体的には、松島町において、発達障害の可能性のある子どもたちに対して、子育て支援センター(児童館)を拠点として、担当職員の専門性を高める研修を行ったり、保護者とともに支援方法を共有したりしました。また、OJTも取り入れ、限られた支援を有効に活用して、地域全体で支援するスキルを向上させた取組について報告がなされました。

    ②「大阪狭山市の早期支援の取組について」(PDF: 6,628KB) 〔発表者〕
       大阪狭山市教育委員会事務局教育部学校教育グループ課長補佐 伊地知 豊氏
     〔概要〕
     大阪狭山市では、小学校高学年や中学校段階より前に子どもたちの困難さに気付き、できるだけ早期からの支援が行えるよう、市内全体で「発達障がいのある子どもに配慮した授業づくり・集団づくり」をテーマとして、子どもたちが理解しやすい指導方法の工夫に取組みました。
     具体的には、MIMを取り入れたアセスメントと指導、集中できる教室環境、指示や声かけの工夫など、学校としてのスタンダードが構築され、支援体制づくりが推進された様子について報告がなされました。

    4.事例報告(後半)

    ③「系統性のある支援研究事業の取組」(PDF: 6,014KB)
     〔発表者〕
       福岡県教育庁教育振興部義務教育課特別支援教育室指導主事 牛島 玲氏
       久山町教育委員会教育課指導主事             髙武 龍彦氏 
       福岡県教育庁教育振興部高校教育課指導主事        矢津田 としえ氏
     〔概要〕
     福岡県では、幼児児童生徒の困難さに気付き、具体的な指導の内容やその成果と課題を引き継いでいくことができるような支援体制を整備しています。
     具体的には、久山町教育委員会から「就学前から中(高等)学校の引継ぎ」の取組、また福岡県高校教育課から「中学校から高等学校の引継ぎ」の取組について報告がなされました。特に、「学校間連携コーディネーター」を複数配置し活用した取組、チェックシート・支援シートの開発と活用等により、適切かつ一貫した指導や支援を引き継ぎ、継続していくことができたことについて報告がなされました。

    ④「司法・矯正・医療・教育・福祉等による支援機関の連携構築及び支援のシステム化への取組について」(PDF: 636KB)
     〔発表者〕
       社会福祉法人はるにれの里 発達支援室なっつ    俵谷 知実氏
     〔概要〕
     札幌市では、これまでCRAFT(Community Reinforcement and Family Training)の考え方を取り入れ、環境調整を適切に行うことにより、適応的な行動を増やし、本人や家族を支える仕組みの実践や、専門家を養成する研修事業等について取組んできました。
     そこで、これまでの取組を強化し、二次障害への「継続的介入」と行動の問題に対する「再発防止」を目的に、司法・矯正・医療・福祉・教育等他職種間で課題を整理し、役割分担や介入のポイントを可視化できるツールを開発したことについて報告がなされました。

    ⑤「札幌市におけるペアレントメンターの取組」(PDF: 218KB)
     〔発表者〕
       札幌市保健福祉局障がい保健福祉部障がい福祉課発達障がい担当 福井 智恵氏
     〔概要〕
     札幌市では、発達障害者支援体制整備事業の一つとして、発達障害児者の家族を支えるために、「ペアレントメンター」の活動を行ってきています。平成23年からは、ペアレントメンターの養成や育成を図るため研修が行われるとともに、平成24年からは、フォローアップ研修や、ペアレントメンターの自主学習会が実施されています。
     今後、ペアレントメンターの活動の場を広げるためには、ペアレントメンターが他事業等と連携すること、ペアレントメンターの周知、理解の活動を行うことが必要であることについて報告がなされました。

    5.グループディスカッション 「各地域での発達障害者支援体制の強化」

  • 主催
     厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課障害児・発達障害者支援室
     文部科学省 初等中等教育局特別支援教育課


(発達障害教育情報センター 江田、神山、半田)