当研究所の研究
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【58】自閉症児の自傷行為への間接支援
- 段階
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小学校段階
中学校段階 - カテゴリ
- 指導法・支援方法に関すること
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平成25年度 研究紀要 第41巻「特別支援学校(知的障害)に在籍する自閉症児の自傷行為に対する学校コンサルテーション事例の報告」より
キーワード: 自閉症児、特別支援学校、学校コンサルテーション、自傷行為
【この論文では】
特別支援学校(知的障害)に在籍する自閉症児と先生を対象に,自傷行為の低減を図るために,コンサルタント(支援や援助を間接的に提供する人)が児童の直接観察と、先生へ支援会議,電子メールと電話連絡を行い、これらの学校コンサルテーションを行った結果、自傷行為が低減されました。学校コンサルテーションとしては、行動コンサルテーションの手法を用いました。手順は,①「行動の同定」(標的となる行動を具体的に確定します),②「行動の分析」(標的となる行動の要因を分析し、指導目標を設定します),③「指導介入の実施」(コンサルタントの提供した支援・援助をもとに先生が指導を行います),④「指導介入の評価」(行った指導により、目標が達成されたか評価します)の4段階を通して行われます。
図 一般的な行動コンサルテーションのモデル
[参考:加藤哲文・大石幸二(2004).特別支援教育を支える行動コンサルテーションー連携と協働を実現するためのシステムと技法.学苑社.]【論文の中で、最も強調したい点】
当初は対象児の自傷行為に対し,学級の複数の先生は問題を共有することができずに、それぞれ先生が対象児に対し,支援を行っていましたが,2回の直接観察,支援会議を経て,以下の7つの支援方針を確定しました。
①指導グループを分けることを徹底すること,
②不必要な言語指示を極力控えること,
③離れたところから指示をせず,近くに行き,適切な音量で指示を行うこと,
④事前に見通しを持たせること,
⑤調子が悪いときは無理に促さないこと,
⑥目標設定を慎重にし,失敗経験をできるだけ少なくすること,
⑦担当の先生は,必要に応じて周りの先生に指示を行うこと。このような支援方針が決定され,学級の担任が支援を一貫することで,自傷行為は低減され,その後も落ち着いた学校生活を維持することができました。
【執筆者】
石坂 務 ・ 藤田 継道【論文名】
「特別支援学校(知的障害)に在籍する自閉症児の自傷行為に対する学校コンサルテーション事例の報告」
【もっと詳しくお知りになりたい場合は】
この論文は、研究所webページにて全文掲載されています。
http://www.nise.go.jp/cms/resources/content/9138/20140331-113022.pdf【本研究紹介シートの文責】
石坂 務
本研究紹介シートは、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所で行った研究を基に作成しています。