当研究所の研究
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【54】高等学校における発達障害等への支援をどう考えるか
- 段階
- 後期中等教育段階以降
- カテゴリ
- 指導法・支援方法に関すること
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平成25年度 専門研究B「高等学校における発達障害等の特別な支援を必要とする生徒への指導・支援に関する研究 -授業を中心とした指導・支援の在り方- 」より
キーワード:高等学校、特別支援教育、指導・支援、わかる授業づくり
【この研究では】
通常の学級における発達障害等の特別な支援を必要とする子どもが学びやすい配慮や支援等については、学校生活全般を一人の教師が担う小学校に比べて、中学校、高等学校では教科担任制をとり、支援体制づくりにおいても困難な面があることなどから、十分な取組ができていない現状があります。特に高等学校では、課程や学科等の違いなど教育のシステムが多様化しており、授業の工夫だけでなく、試験に関する配慮、評価の方法、進路指導等も大きな課題となることから、小学校、中学校とは異なる対応についての検討が必要です。高等学校になると、学習に対する苦手意識が固定化し、意欲があまりみられない生徒も出てきます。しかし、わかりやすい授業と支援や配慮の工夫、学びやすい科目や教科の設定、個に応じた評価方法等により、学ぶ意欲が高まり自立する力が伸びていく生徒も少なくないと思われます。さらに、高等学校における指導・支援を充実させていくためには、個への配慮・支援だけでなく、学級全体への働きかけも考えていく必要があります。
そこで本研究では、高等学校における特別支援教育の体制整備の充実と生徒の実態に応じた指導・支援の在り方について、研究協力校における実践を通して、その重要なポイントとなることについて検討しました。【研究をして見えてきたこと】
研究協力校における実践では、特に授業を中心とした指導・支援の在り方に焦点を当てました。授業のユニバーサルデザイン化、習熟度別・少人数授業、個別的な指導の場の工夫、教科を越えた授業研究会、TTによる指導や支援員、ボランティアの活用など、生徒の実態や教員のニーズに応じた配慮や支援の工夫により、各校の生徒の学ぶ意欲が変わるという成果が得られました。これらの実践をもとに、高等学校における特別支援教育の体制整備の充実と生徒の実態に応じた指導・支援の在り方について、「多角的な実態把握」「組織的な対応・校内支援体制」「教育課程・指導形態の工夫」「実態に応じた指導・支援の工夫」「意欲を高める学習評価の工夫」「中高連携と支援の連続性」「キャリア教育・進路指導」の7つの観点から、現状と課題を整理し、大切にしたいポイントについてまとめました。〇研究協力校における支援の実際 〇多様な学びのニーズに応える7つの観点
【研究組織】
研究代表者 笹森洋樹
研究分担者 梅田真理 ・ 伊藤由美 ・ 玉木宗久 ・ 海津亜希子 ・ 小松幸恵 ・ 柘植雅義 ・ 岡本邦広 ・
渥美義賢 ・ 廣瀬由美子【研究課題名】
「高等学校における発達障害等の特別な支援を必要とする生徒への指導・支援に関する研究
-授業を中心とした指導・支援の在り方-」(平成24~25年度)【もっと詳しくお知りになりたい場合は】
これらの報告書は,いずれも研究所webページにて全文掲載されています。
http://www.nise.go.jp/cms/resources/content/9719/seika4.pdf【本研究紹介シートの文責】
笹森 洋樹
本研究紹介シートは、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所で行った研究を基に作成しています。