当研究所の研究
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【34】ADHDのある子どもの実態把握と支援のために
- 段階
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小学校段階
中学校段階 - カテゴリ
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子どもの特性、実態把握に関すること
指導法・支援方法に関すること
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「注意欠陥/多動性障害(ADHD)児の評価方法に関する研究(平成16年3月)」より
キーワード: 注意欠陥/多層性障害、ADHD、評価方法、実態把握、支援
【この研究では】
特殊教育から特別支援教育に転換されたことで、通常の学級に在籍することの多いADHDのある子どもが教育的支援の対象となりました。この際に、医療機関でADHDと診断のついている場合もありますが、医療機関を受診していない場合が多いのが現状ではないかと思われます。この際には専門家チームによる判断を得ることになりますが、まずは学校である程度の目安を持てると、早く支援に入ることができます。また、ADHDのある子どもの一人一人に合った適切な支援を行うためには、一人一人の実態を的確に把握することが必要となります。この研究では、実態把握を行う際に参考となるADHDの様々な評価方法について調べ、評価と密接に関連している医学的な概念や診断についても調べました。さらに、個々の実態に対応して実際の支援をどのように行ったらよいかについても検討し、これらを報告書にまとめました。
【研究をして見えてきたこと】
ADHDに特徴的にみられる特性に関する評価法は、米国精神医学会の診断体系DSM-IVの診断基準がかなり具体的であるため、 「ADHD-RS-IV」等の概ねそれに沿ったものが多い傾向がありました。支援にあたっては、個々の子どもの特性を総合的に把握することが重要であり、この点から「子どもの行動チェックリスト TRF」等による多面的・総合的な評価法や「WISCIII」等の知能検査も有用と考えられます。ADHDのある子どもの実態把握と支援については、以下の9項目について、学年を考慮した実態把握の目安と支援に際して考慮すべきことや支援の方法についてまとめました。
- 授業中、席を離れることについて
- 忘れ物が多いことについて
- ノートの書き写しが不得手なことについて
- なかなか授業に集中できないことについて
- 集団活動で目立った行動をすることについて
- 自分に自信が持てないことについて
- 衝動的な行動の多いことについて
- 自分の気持ちをうまく表現できない等のコミュニケーションの問題について
- 感覚の過敏さや運動の不器用さがあることについて
【研究組織】
渥美義賢・花輪敏男・大柴文枝・是枝喜代治・玉木宗久
【研究課題名】
注意欠陥/多動性障害(ADHD)児の評価方法に関する研究
【もっと詳しくお知りになりたい場合は】
こちらの報告書は、研究所webページにて全文掲載されています。
http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_b/b-180.html
【本研究紹介シートの文責】
渥美義賢
本研究紹介シートは、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所で行った研究を基に作成しています。