当研究所の研究
-
【03】LDのある子どもへの指導方法と支援体制
- 段階
-
小学校段階
中学校段階 - カテゴリ
-
子どもの特性、実態把握に関すること
指導法・支援方法に関すること
支援体制に関すること
-
「学習障害児の実態把握、指導方法、支援体制に関する実証的研究(平成15年3月)」より
キーワード: LD(学習障害)、アセスメント、指導方法、支援体制
【この研究では】
この研究は、平成11年7月に、当時の文部省より公表された「学習障害児に対する指導について(報告)に対応するものでした(尚、こちらの報告にて、今、用いられているLDの定義が述べられました)。この報告の中では、「・・・具体的な指導方法を体系化し、一層効果的にするものとするため、今後、国立特殊教育総合研究において、内外の各方面での実施されている研究の成果を取りまとめていくことが望まれる」と記載されており、指導の形態と場、つまり、通常の学級およびそれ以外の場における指導について、研究することが求められました。 そこで、この研究では、広く通常の学級での指導、通級指導教室での指導、特殊学級および通常の学級での指導、民間機関での指導に分け、実践報告がなされました。
さらには、LDのある子どもへの支援体制を網羅すべく、「実態把握の方法と判断基準の検討(学校における実態把握)と(専門家チームにおける評価と判断)」や「支援体制の構築(校内委員会の構築)、(巡回相談の役割)、(市町村の支援体制)、(都道府県の支援体制)」等について報告されています。
あわせて、調査研究としては、「ティームティーチングによる指導」「各自治体における学習障害の実態把握と対応-平成12年度全国調査から-」等についても、報告されています。
【研究をして見えてきたこと】
この研究報告書では、各章ごとに、ポイントが書かれており、この研究を通して、どのようなことがわかったのかが、簡潔に示されています。ここでは、その中でも、「通常の学級での指導から」得られた知見について紹介します。
対象となる子どもの認知特性に配慮した対応を試みたことで、読み書きに関するスキルの向上が認められた。
学年のチームによる対応を試みたことで、対象となる子ども以外の児童に対する理解が促され、学級編成や、担任が替わった場合でも、継続的な支援が得られる状況を学校の中で作り上げることができた。
「算数科」におけるティームティーチングでの指導を通して、他の子どもを含めた気がかりな子どもへの個別的対応が十分に実施でき、対象となる子どもにも効果的であった。
LDのある子どものための「個別の指導計画」を作成していくことが、子どもの状態像の理解と実際の支援に役だった。
約束やルールは強く守るという対象の子どもの傾向を活かして、グループ活動の中で、各子どもに役割を割り当てたことや、目標を設定し、振り返る機会を設けたことが、子どもの授業への参加を促し、書く機会を増やすことにつながった。
【研究に関する情報】
この研究の報告書は、文科省より平成16年1月に公表された「小・中学校におけるLD(学習障害)、 ADHD(注意欠陥/多動性障害)、高機能自閉症の児童生徒への教育支援体制の整備のためのガイドライン(試案)」でも活用されています。
詳しくは、http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/1298152.htmをご覧ください。【研究組織】
本研究紹介シートには、最終年度時点でのスタッフのみ掲載しています。全スタッフについては、報告書をご覧ください。
篁 倫子・海津亜希子・小塩允護・涌井 恵・佐藤克敏・松村勧由・花輪敏男・大柴文枝・是枝喜代治・棟方哲弥・廣瀬由美子【研究課題名】
学習障害児の実態把握、指導方法、支援体制に関する実証的研究(平成11~14年度)
【もっと詳しくお知りになりたい場合は】
こちらの報告書は、研究所webページにて全文掲載されています。
http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_c/c-41.html
【本研究紹介シートの文責】
海津 亜希子
本研究紹介シートは、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所で行った研究を基に作成しています。