乳幼児期段階
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【17】個別の教育支援計画を策定すれば、教員が変わる、学校が変わる、地域が変わる
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後期中等教育段階以降 - カテゴリ
- 支援体制に関すること
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「個別の教育支援計画の策定に関する実際的研究(平成18年3月)」より
キーワード: 個別の教育支援計画、特別支援教育コーディネーター、地域づくり
【この研究では】
特別支援教育の中で、新しく出てきた「個別の教育支援計画」という概念の背景を詳細に検討しました。まず、福祉国家の成立と近代学校教育成立を、市民階級の成立の観点から概観し、社会福祉基礎構造改革の流れの中で、公的責任と社会的連帯の意味合いががどのように変遷して来たかを押さえた上で、共生社会実現のために、なぜ個別の教育支援計画を策定する必要に迫られたかをまとめています。併せて、障害者施策の世界的潮流の中で、障害者基本計画(平成14年閣議)において、個別の支援計画が出されるまでの経緯にも言及しました。そのような学術的基礎の上に、個別の教育支援計画を策定する上で、押さえるべきポイントをまとめています。事例としては、各障害種別、小中学校での試み、特別支援学校(研究期間中では養護学校)のセンター的機能を数多く上げています。最終的には、個別の教育支援計画を策定する意義は、障害のある子どもの直接の支援になるだけでなく、学校を卒業後、生活する場となる地域が障害のある人にも住みやすい地域づくりの基礎となること示唆する事例を集めました。
子どもが、幸せに育つ世の中になって欲しいという願いを込めて!!【研究をして見えてきたこと】
平成19年度特別支援教育体制整備状況調査においても、未だ進んでいないのが、個別の教育支援計画策定です。この理由は、目の前の子どもの指導に熱心なあまり、24時間365日、障害のある子どもを支える家庭や地域の状況が見えにくく、連携下手の教育の姿が見えてきます。地域の様々な社会資源と連携し、障害のある子どもを支えるネットワークを作るのが、特別支援教育コーディネーターの仕事だと思います。【研究に関する情報】
個別の教育支援計画について、さらにお知りになりたい方は、まず平成16年度から平成17年度に行われたプロジェクト研究「個別の教育支援計画の策定に関する実際的研究」の研究成果報告書をお読み下さい。個別の教育支援計画をなぜ策定しなければならないかを知りたい方にお勧めです。個別の教育支援計画として、文部科学省の正式な解説書は、全国特殊学校校長会編集の盲・聾・養護学校における「個別の教育支援計画」ビジュアル版になります。
少し実践的な書籍としては、特別支援教育コーディネーターのための「個別の教育支援計画」ガイドブック(全国心身障害児福祉財団)がお勧めです。特別支援教育コーディネーターの業務を、地域援助とソーシャルワークの視点から述べています。これらで、個別の教育支援計画関連の3部作を構成しています。
【研究組織】
西牧謙吾・當島茂登・石川政孝・笹本 健・大内 進・小田侯朗・滝坂信一・牧野泰美・亀野節子・佐藤正幸・菅井裕行
【研究課題名】
「個別の教育支援計画」の策定に関する実際的研究 (平成16~17年度)
【もっと詳しくお知りになりたい場合は】
こちらの報告書は、研究所webページにて全文掲載されています。
http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_c/c-61.html
【本研究紹介シートの文責】
西牧 謙吾
本研究紹介シートは、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所で行った研究を基に作成しています。