小学校段階

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【55】自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍する自閉症児に対する算数科・数学科教育

段階
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カテゴリ
指導法・支援方法に関すること

平成24~25年度 専門研究B「自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍する自閉症のある児童生徒の算数科・数学科における学習上の特徴の把握と指導に関する研究」より

 キーワード:自閉症・情緒障害特別支援学級、自閉症、算数科・数学科、指導 

 


【PDF版】


 【この研究では】 
 この研究では、自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍する当該学年の算数科・数学科の内容を学習している自閉症のある児童生徒の算数科・数学科における学習上の特徴の把握と必要な指導について検討することを目的としました。研究の方法として、自閉症のある児童生徒の算数科・数学科に関する先行研究のレビューと研究協力機関からの情報収集、アンケート調査、研究協力機関での実践を行いました。

 

【研究をして見えてきたこと】 
 アンケート調査では、基本的な計算は習得していましたが、学習した内容を日常生活に利用したり数学的な表現で説明したりすることに難しさが認められました。また、文章題の読み取りのできない児童生徒が比較的多く存在しました。さらに、アンケート調査の結果は、先行研究や研究協力機関での事例を支持したものを含んでいました。研究協力機関の実践では、実態把握から評価までの指導過程に基づき、その都度、自閉症のある児童生徒の実態を見直し、彼らにとって必要な指導内容や指導方法を検討しました。その結果、以下の2点の重要性が示されました。

 1.算数科・数学科における習得状況と学習上の特徴
 アンケート調査の結果からは、自閉症のある児童生徒は基本的な計算を習得していましたが、学習した内容を日常生活に利用したり数学的な表現で説明したりすることに難しさが認められる傾向にありました。また、個々の事例を検討すると、習得するまでの過程やつまずきの背景は異なることが予想されました。アンケート調査、先行研究や研究協力機関での情報収集から、どの自閉症のある児童生徒も、同様な学習内容の習得状況を示すものではなく、困難さも一人一人異なるため、個々の対象児童生徒の実態把握を的確に行い、実態把握に基づいた算数科・数学科の目標を設定し必要な指導を行っていくことが重要です。

 2.自閉症のある児童生徒に必要な指導
 図1のように、対象児童生徒の実態把握に応じて指導方針の検討を行い、目標を設定します。さらに、その目標に基づいた年間指導計画や単元指導計画を立てて指導を行う必要があります。研究協力機関の実践を通して、対象児童生徒の実態把握から評価までの過程に沿った指導が重要であることが再確認されました。特に、自閉症のある児童生徒に算数科・数学科の指導を行う上でのポイントとして、振り返り、学習内容の重点化・精選化・単元の配列の変更の2つの視点から検討を行うことが挙げられました。


図1 実態把握から評価までの指導過程

 

【研究に関する情報】 
 この研究に関連する情報として、次の3冊があります。こちらも、あわせてご覧下さい。

 

【研究組織】
 研究代表者: 岡本 邦広
 研究分担者: 小澤 至賢・柳澤 亜希子・佐藤 肇・石坂 務・笹森 洋樹・廣瀬 由美子・菊地 一文・渥美 義賢

 

【研究課題名】    
 自閉症・情緒障害特別支援学級に在籍する自閉症のある児童生徒の算数科・数学科における学習上の特徴の把握と指導に関する研究(平成24~25年度)

 

【もっと詳しくお知りになりたい場合は】

 これらの報告書は,いずれも研究所webページにて全文掲載されています。
 http://www.nise.go.jp/cms/7,9718,32,142.html

 

【本研究紹介シートの文責】 

 岡本 邦広

 

本研究紹介シートは、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所で行った研究を基に作成しています。