後期中等教育段階以降
-
【37】多職種間連携のツールとしてのICF(国際生活機能分類)実用化の試み-「個別の教育支援計画」への適用を視野に入れてー
- 段階
-
小学校段階
中学校段階
後期中等教育段階以降 - カテゴリ
- 支援体制に関すること
-
「多職種間連携のツールとしてのICF(国際生活機能分類)実用化の試み:「個別の教育支援計画」への適用を視野に入れて(平成16年3月)」より
キーワード:ICF(国際生活機能分類)、多職種、連携、個別の教育支援計画
【この研究では】
この論文は、特殊教育から特別支援教育への移行が推進されていた2004年に発表されました。2003年の「今後の特別支援教育の在り方(最終報告)」に示された「個別の教育支援計画」をはじめ、学校内のみに完結しない多職種間での教育の展開を求める動きが高まっていた当時、WHO(世界保健機関)において2001年に採択され、2002年に日本語訳が発行された、多色職種間等での共通言語しての機能が期待された「ICF」を連携のツールとして実用化する試みについて、5事例の検討をとおしてまとめられています。この論文では、WHOの「ICFチェックリスト」(仮訳)を用いて、 ICFの構成要素(図1参照)である心身機能・身体構造・活動と参加・環境因子の項目と関連情報についてアセスメントし、その結果と健康状態と個人因子加えて、ICFの概念図(図1)を模した「ICF関連図」(図2)を作成し、子どもの実態と課題を整理した後、それを資料として用いながら関連のある多職種との連携に用いる取組が検討されています。また、これらの動きを、当時検討が進められていた「個別の教育支援計画」へ適用する取組も行われています。
図1 ICFの構成要素間の相互作用の図
図2 実際の「ICFの関連図」の一例【研究をして見えてきたこと】
ICFを用いた一連の作業によって、多職種間連携のための話し合いが効率的、効果的に進められ、連携のためのツールとしてICFが有用であることが示唆されました。また、個別の教育支援計画と関連させて実用化を図っていくためには、既存の個別の指導計画との関連を整理し、併せて活用のためのマニュアルの検討を図る必要性も示唆されました。また、この研究は、ICFを活用した取組の先駆けとして、その後の同様の取組に大きく影響を及ぼすものとなりました。
【研究論文名】
多職種間連携のツールとしてのICF(国際生活機能分類)実用化の試み:「個別の教育支援計画」への適用を視野に入れて
【もっと詳しくお知りになりたい場合は】
こちらの論文は、研究所webページにて全文掲載されています。
http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/kiyo31/A-31_02.pdf- この論文を再編集したものも含め、ICFを活用する試みについてまとめた冊子である、本研究所及びWHOの編著「ICF活用の試みー障害のある子どもの支援を中心にー」(ジアース教育新社、2005年、図3参照)についてはこちらをご覧ください。
http://www.kyoikushinsha.co.jp/books/37.html - ICF及びICF-CY(児童青年期バージョン(仮)を活用した取組について、特別支援教育を中心にまとめた冊子である、本研究所編著「ICF及びICF-CYの活用:試みから実践へー特別支援教育を中心にー」 (ジアース教育新社、2007年、図4参照)についてはこちらをご覧ください。
http://www.kyoikushinsha.co.jp/books/78.html
図3 「ICF活用の試み」
- 教育施策へのICF-CYの活用可能性を探った、本研究所の研究課題「ICF児童青年期バージョンの教育施策への活用に関する開発的研究(平成18~19年度)」の成果報告書はこちらをご覧ください。
http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_b/b-228_all.pdf - ICF日本語訳についての情報はこちらをご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0805-1.html - ICF-CYの日本語訳についての情報はこちらです。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/other.html#toukei - ICFーCYのより具体的な活用の方法論を検討している、本研究所の研究課題「特別支援教育におけるICF-CYの活用に関する実際的研究」についてはこちらをご覧ください。
http://www.nise.go.jp/blog/2005/03/post_59.html - 活用ための研修の在り方に研究している、科学研究費補助金「特別支援教育における国際生活機能分類児童青年期版活用のための研修パッケージ開発」についてはこちらをご覧ください。
http://www.nise.go.jp/blog/2008/05/post_819.html
【本研究紹介シートの文責】
徳永亜希雄
本研究紹介シートは、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所で行った研究を基に作成しています。 - この論文を再編集したものも含め、ICFを活用する試みについてまとめた冊子である、本研究所及びWHOの編著「ICF活用の試みー障害のある子どもの支援を中心にー」(ジアース教育新社、2005年、図3参照)についてはこちらをご覧ください。