【19】交流及び共同学習の一層の推進に向けて

調査研究「交流及び共同学習に関する調査研究(平成18年3月)」より 

 キーワード: 交流及び共同学習、障害理解 

 


【PDF版】


【この研究では】
 平成16年に障害者基本法が一部改正され「国及び地方公共団体は、障害のある児童及び生徒と障害のない児童及び生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによって、その相互理解を促進しなければならない」と規定されました。こうした教育活動は、これまでも「交流教育」や「交流学習」という名称で行われてきましたが、法改正を受けて「交流及び共同学習」という名称に改め、教育課程上の位置づけの明確化や計画的な実施など、その充実に向けた取組が行われています。平成20年に示された小・中学校の学習指導要領にも「交流及び共同学習」という名称が初めて記されました。本研究は、法改正直後の「交流及び共同学習」の現状と課題を明らかにすることを目的としました。

 ■研究の方法

調査対象下記について都道府県及び政令指定都市教育委員会に、調査に協力いただける学校の推薦を依頼
全国の盲学校・聾学校・知的障害養護学校、肢体不自由養護学校、病弱養護学校
特殊学級を設置する小・中学校
調査対象校は盲・聾・養護学校は251校、小学校280校、中学校230校  総計761校
手続き調査用紙を平成17年8月末日に調査対象校に直接送付、9月16日を〆切として直接返送を依頼
回収状況盲・聾・養護学校:回答239校、回収率95.2%  ・特殊学級:回答442校、回収率86.7%

 

【研究をして見えてきたこと】

  1. 盲聾養護学校における学校間交流
     小学部・中学部とも、全ての学校種において9割以上の児童・生徒が少なくとも年間1回実施していることがわかりました。 図1に、小学部における学校間交流の成果を、図2に、課題を示しました。
  2. 盲聾養護学校における居住地校交流
     小学部では4割弱(盲)から6割弱(聾)の児童が、中学部では1割(病弱)から3割(盲・知的)の生徒が実施していることがわかりました。図3に小学部における成果を、図4に課題を示しました。
  3. 特殊学級における交流及び共同学習
     弱視、難聴、言語障害では、全ての児童生徒が実施していました。肢体不自由でも小学校の全ての児童が実施していました。病弱・身体虚弱では実施している児童生徒の割合は6割程度でした。知的障害と情緒障害では回答が分散しました。図5に成果を、図6に課題を示しました。

図5 特殊学級における成果


図6 特殊学級における課題

 

【研究組織】
 久保山茂樹・千田耕基・田中良広・涌井恵・松村勘由・渡邉正裕・金子健・大内進


【研究課題名】
 「交流及び共同学習」に関する調査研究 (平成17年度)


【もっと詳しくお知りになりたい場合は】
 こちらの報告書は、研究所webページにて全文掲載されています。
 http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/pub_b/b-207.html


【本研究紹介シートの文責】
 久保山茂樹


本研究紹介シートは、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所で行った研究を基に作成しています。