当研究所の研究

【14】知的障害養護学校における自閉症の教育に関する全国実態調査

段階
小学校段階
中学校段階
カテゴリ
子どもの特性、実態把握に関すること
指導法・支援方法に関すること

「自閉症の児童生徒に対する指導内容・方法に関する検討:知的障害養護学校における自閉症の教育に関する全国実態調査(平成17年3月)」より

 キーワード: 自閉症、質問紙調査、教育内容、配慮・指導方法、知的障害養護学校 

 


【PDF版】


 【この研究では】
 知的障害養護学校(現・特別支援学校)の自閉症のある児童生徒において重視する教育内容と配慮・指導方法を明らかにするために、教員を対象とした質問紙調査を行いました。教育内容を6カテゴリー、配慮・指導方法を4カテゴリーに分類し、自閉症のある児童生徒にとって重要と考えられる教育内容と配慮・指導方法について検討しました。

 なお、この調査は、平成15~17年度プロジェクト研究「養護学校等における自閉症を併せ有する幼児児童生徒の特性に応じた教育的支援に関する研究」の一部として行われたものです。本プロジェクト研究では我が国の自閉症教育におけるスタンダード作りを目指してきました。というのも、盲・聾・養護学校のどの校種にも自閉症を伴う子どもたちが在籍しており、自閉症の子どもの在籍割合が高い知的障害養護学校のみならず、すべての盲・聾・養護学校で自閉症の特性に応じた教育の充実が喫緊の課題となっているからです。


【研究をして見えてきたこと】
 本調査結果に対して、学部間の比較及び取り組み状況の比較を行った結果、教育内容については、小学部の段階で最も重視されるカテゴリーと年齢が上がるにつれて重視されるカテゴリーがあることが示唆されました。
また、配慮や指導方法においては、全てのカテゴリーで小学部の段階でより重視される傾向がありました。学部の取組状況の比較からは、特に配慮や指導方法において、学部などの組織としての取組が特性に応じた取組を促すことが示されました。

 ただし、本結果は個別事例的に自閉症の児童生徒にとって必要な教育内容や配慮・指導方法を取り上げた研究ではなく、教員側の意識に関する結果です。今後は、個に応じた教育内容や配慮・指導方法が自閉症の児童生徒の予後にどのように影響するのかを含め、重要となる教育内容や配慮・指導方法を整理することが求められます。


【研究に関する情報】
 関連する研究成果等として、次の3冊があります。あわせてご覧ください。


【研究組織】
 小塩允護・竹林地毅・木村宣孝・徳永豊・佐藤克敏・齊藤宇開・涌井恵・廣瀬由美子・是枝喜代治・西牧謙吾・花輪敏男・大杉成喜・東條吉邦・小澤至賢・内田俊行


【研究課題名】
 研究紀要「自閉症の児童生徒に対する指導内容・方法に関する検討:知的障害養護学校における自閉症の教育に関する全国実態調査」(平成17年3月)


【もっと詳しくお知りになりたい場合は】
 こちらの報告書は、研究所webページにて全文掲載されています。
 http://www.nise.go.jp/kenshuka/josa/kankobutsu/kiyo33/A-33_02.pdf


【本研究紹介シートの文責】
 涌井恵


本研究紹介シートは、独立行政法人国立特別支援教育総合研究所で行った研究を基に作成しています。