2019年度(令和元年度)発達障害教育実践セミナー
概要
2019年(令和元年)7月17日(水)、18(木)に本研究所研修棟におきまして、「2019年度(令和元年度)発達障害教育実践セミナー」を開催しました。
今年度は、家庭と教育と福祉の連携を推進する「トライアングル」プロジェクト報告を踏まえ「発達障害者支援における家庭と教育と福祉の連携を推進するための教員研修の在り方」をメインテーマとしました。また、参加対象を「都道府県・指定都市・中核市の教育委員会及び教育センターの研修担当の指導主事」に絞り、各地域における発達障害教育の実践的な指導力の向上を推進するための研修の充実を図ることを主な目的としました。
当日は、教育委員会、及び教育センターの指導主事等48名にご参加をいただきました。
1日目(午後)は、セミナーの趣旨説明、文部科学省と厚生労働省による行政説明、基調講演を行い、「トライアングル」プロジェクト報告に関することなど、近年の発達障害支援の現状と課題等について広く理解推進が図られました。
2日目は、午前にパネルディスカッション、午後に実践紹介(グループ協議含む)を行い、活発な議論が行われ、盛況のうちに終了しました。
当日プログラム [195KB PDFファイル]
なお、今回参加いただけなかった皆様のために、基調講演の配布資料を配信します(下記に掲載)。どなたでもアクセスすることができます。ぜひご活用ください。
1日目
講 師 田中 裕一 (文部科学省 特別支援教育調査官)
講 師 加藤 永歳 (厚生労働省 発達障害対策専門官)
文部科学省、及び厚生労働省のそれぞれの立場からお話をいただき、発達障害に関わる教育や福祉の動向について最新の情報を提供いただきました。
〔基調講演〕「発達障害児・者の支援に関する現状と課題」
講 師 本田 秀夫 (信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部部長)
基調講演では、信州大学教授の本田 秀夫氏より「発達障害児・者の支援に関する現状と課題」をテーマにお話をいただきました。発達障害児・者の支援において大切な視点、教育と家庭、福祉・医療との連携の在り方等、示唆に富んだお話をいただきました。
参加者からは、「教育、福祉どの立場の方にとっても大変学び多い内容で、是非、今後もご示唆いただきたく思いました」、「発達障害児・者の状況を詳しく聞くことができ、教育としてどのような体制作りが必要かを再考するきっかけとなった」といった感想をいただきました。
本田秀夫氏 基調講演配布資料 [1.0MB PDFファイル]
2日目
〔パネルディスカッション〕「教育と家庭・福祉・医療との連携の在り方と教員に求められる専門性」
コーディネーター 笹森 洋樹 (国立特別支援教育総合研究所)
パ ネ リ ス ト 山岡 修 (日本発達障害ネットワークJDDネット)
パ ネ リ ス ト 西村 浩二 (広島県発達障害者支援センター)
パ ネ リ ス ト 西牧 謙吾 (国立障害者リハビリテーションセンター)
指 定 討 論 者 田中 裕一 (文部科学省 特別支援教育調査官)
まず3名のパネリストから、家庭、福祉、医療のそれぞれのお立場で、教育との連携の在り方や教員に求められる専門性について情報提供をいただきました。その後、文部科学省特別支援教育調査官の田中 裕一氏を指定討論者としたパネルディスカッションを行いました。
ここでの論点は、「立場の違う者が『連携する』『協働する』とはどのようなことを期待されているのか」、「本人や保護者との共通理解、合意形成はどのように図れば良いのか」、「『連携・協働』の視点から教職員が研修すべきことは何か」の三つでした。
参加者からは、「それぞれの視点から協議が深められていて興味深かった」、「どう連携すれば良いのかといったことに対して細やかな示唆をいただいた」、「連携を図る上でのコミュニケーションの大切さを再確認した」等の感想をいただきました。
〔実践紹介〕「効果的な教員研修の在り方」
コーディネーター 廣島 慎一 (国立特別支援教育総合研究所)
話 題 提 供 井上 秀和 (国立特別支援教育総合研究所)
話 題 提 供 若山 洋 (宮城県総合教育センター)
話 題 提 供 若槻 洋貴 (山梨県教育庁)
前半は、本研究所から参加者に事前に実施したアンケート調査(「通級による指導の担当者の専門性について」)の結果について、その後、宮城県総合教育センターの若山 洋氏、山梨県教育庁の若槻 洋貴氏からそれぞれの自治体における発達障害教育の専門性を高めていくための効果的な研修について、話題を提供していただきました。
後半は、「通級担当者の専門性を向上するため、今後取り組みたい(工夫したいこと)こと」をテーマとして、参加者の皆様に協議を深めていただきました。また、その際の協議の視点としては「指導・支援」、「連携・協働」の2軸により整理をしていただきました。
参加者からは、「実践事例が参考になりました」、「研修の充実を図るための具体的なヒントをたくさんいただいた」、「具体的な、そしてとてもすばらしい実践をお聞きし、明日からまたがんばろうと思いました」といった声をいただきました。
〔研究パネル展示〕
昼食・休憩等の時間帯に、当研究所で実施している研究紹介パネルの展示を行いました。