平成30年度 発達障害教育実践セミナー
概要
本研究所では、平成30年8月3日(金)に一橋大学一橋講堂におきまして、「平成30年度発達障害教育実践セミナー~通級による指導に期待されること~」を開催しました。
本セミナーは今年度が2回目の開催でしたが、定員の300名に達する多くの方々にご参加をいただきました。
午前は、基調講演とシンポジウムを行い、通級による指導の在り方を中心に広く発達障害教育の理解推進が図られました。
午後は、分科会に分かれて活発なグループ協議を行い、盛況のうちに終了しました。
皆様の積極的なご参加、誠にありがとうございました。
開催チラシ [600KB PDFファイル]
実施要項 [166KB PDFファイル]
なお、応募者多数につき、今回、申し込みいただけなかった皆様には、ご希望に添いかねる結果となってしまいましたこと、改めてお詫び申し上げます。
つきましては、今回お申込みいただけなかった皆様のために、セミナー当日の基調講演の動画(平成31年3月まで)、及び資料の一部を配信します(下記「内容」に掲載)。どなたでもアクセスすることができます。ぜひご活用ください。
内容
〔基調講演〕 これからの通級による指導に望まれること
講師 上野 一彦 氏(東京学芸大学)
講師 上野 一彦 氏(東京学芸大学)
基調講演では、東京学芸大学名誉教授の上野一彦先生より、「これからの通級による指導に望まれること」をテーマに講演をいただきました。講演の中では、通級による指導を取り巻く現状から、今後の通級による指導の在り方に至るまで、幅広く示唆に富んだお話をいただきました。
参加者からは、「貴重なお話を聴くことができ、大変参考になった」、「思わずうなずいてしまうところがたくさんあった」などの感想をいただきました。
上野一彦氏 基調講演資料 [1.9MB PDFファイル]
〔シンポジウム〕 通級による指導に期待すること
シンポジスト 河野 佑馬 氏 (高校1年生)
近藤 幸男 氏 (横浜市立鴨志田中学校通級指導教室)
司 会 笹森 洋樹 (国立特別支援教育総合研究所)
横浜市立鴨志田中学校通級指導教室の近藤幸男先生と同校で通級による指導を受けていた河野佑馬さんにシンポジストとして登壇いただきました。
近藤先生からは、鴨志田中学校通級指導教室で重点を置いていることは、社会や集団のルールに沿って他者と協調して生活できること、困ったときやわからないときに他者に相談ができることであり、【傾聴・遊び直し・ふり返り】が最近の指導の柱になっているという話がありました。河野さんからは、中学校の通級指導教室では、担当の先生たちが自分の話に興味を持って聴いてくれたことが、今の自分の自信につながっていると語られました。中学校までは、協力的でない同級生に対して感情的になったこともありましたが、高校生となった今、そのことを振り返ってみると同級生の立場で考えることができるようになったという話がありました。現在通っている高校は、クラス単位のつながりがそれほど強くなく、お互いが近すぎず、遠すぎずの関係であり、それが自分にとっては良い環境であると感じているそうです。
参加者からは、「登壇された高校生の発言は、どれもうなずけるものばかりでした。」等の感想をいただきました。
シンポジスト 河野 佑馬 氏 (高校1年生)
近藤 幸男 氏 (横浜市立鴨志田中学校通級指導教室)
司 会 笹森 洋樹 (国立特別支援教育総合研究所)
横浜市立鴨志田中学校通級指導教室の近藤幸男先生と同校で通級による指導を受けていた河野佑馬さんにシンポジストとして登壇いただきました。
近藤先生からは、鴨志田中学校通級指導教室で重点を置いていることは、社会や集団のルールに沿って他者と協調して生活できること、困ったときやわからないときに他者に相談ができることであり、【傾聴・遊び直し・ふり返り】が最近の指導の柱になっているという話がありました。河野さんからは、中学校の通級指導教室では、担当の先生たちが自分の話に興味を持って聴いてくれたことが、今の自分の自信につながっていると語られました。中学校までは、協力的でない同級生に対して感情的になったこともありましたが、高校生となった今、そのことを振り返ってみると同級生の立場で考えることができるようになったという話がありました。現在通っている高校は、クラス単位のつながりがそれほど強くなく、お互いが近すぎず、遠すぎずの関係であり、それが自分にとっては良い環境であると感じているそうです。
参加者からは、「登壇された高校生の発言は、どれもうなずけるものばかりでした。」等の感想をいただきました。
〔研究パネル展示〕
昼食休憩の時間帯に、当研究所で実施している研究について紹介した、パネルの展示を行いました。当研究所の言語障害教育研究班、自閉症教育研究班、発達障害・情緒障害教育研究班のスタッフが研究成果を説明し、参加者の皆様と活発に意見交換を行いました。
昼食休憩の時間帯に、当研究所で実施している研究について紹介した、パネルの展示を行いました。当研究所の言語障害教育研究班、自閉症教育研究班、発達障害・情緒障害教育研究班のスタッフが研究成果を説明し、参加者の皆様と活発に意見交換を行いました。
〔分科会〕
・第1分科会 的確な実態把握に基づく自立活動の指導
話題提供 森村 美和子 氏 (東京都狛江市狛江第三小学校)
助 言 廣瀬 由美子 氏 (明星大学教育学部)
司 会 玉木 宗久 (国立特別支援教育総合研究所)
西村 崇宏 (国立特別支援教育総合研究所)
第1分科会は、「的確な実態把握に基づく自立活動の指導」がテーマでした。狛江市立狛江第三小学校の森村美和子先生から提供いただいた実践をもとに、(1)「教育的ニーズを把握するためにできること」、(2)「学びの連続性を実現するためにできること」、(3)(1)と(2)を踏まえ、「通級による指導で行う自立活動について」の3つの柱について協議を深めていただきました。後半は、森村先生より、ご自身が実際に取り組まれた支援や指導の背景にあることについて解説をいただき、最後に、明星大学の廣瀬由美子先生より、実態把握、及び自立活動を考える時のポイントをわかりやすくお話いただきました。
参加者からは、「自己理解を促すことの大切さを改めて感じた」、「自立活動の重要性を改めて認識した」、といった声を多数いただきました。
・第1分科会 的確な実態把握に基づく自立活動の指導
話題提供 森村 美和子 氏 (東京都狛江市狛江第三小学校)
助 言 廣瀬 由美子 氏 (明星大学教育学部)
司 会 玉木 宗久 (国立特別支援教育総合研究所)
西村 崇宏 (国立特別支援教育総合研究所)
第1分科会は、「的確な実態把握に基づく自立活動の指導」がテーマでした。狛江市立狛江第三小学校の森村美和子先生から提供いただいた実践をもとに、(1)「教育的ニーズを把握するためにできること」、(2)「学びの連続性を実現するためにできること」、(3)(1)と(2)を踏まえ、「通級による指導で行う自立活動について」の3つの柱について協議を深めていただきました。後半は、森村先生より、ご自身が実際に取り組まれた支援や指導の背景にあることについて解説をいただき、最後に、明星大学の廣瀬由美子先生より、実態把握、及び自立活動を考える時のポイントをわかりやすくお話いただきました。
参加者からは、「自己理解を促すことの大切さを改めて感じた」、「自立活動の重要性を改めて認識した」、といった声を多数いただきました。
廣瀬由美子氏 資料 [1.2MB PDFファイル]
(森村美和子氏の資料につきましては、個人情報保護のため、掲載いたしません。なお、ご発表いただいた実践の一部につきましては、狛江市教育委員会「ガクチキ」平成30年3月発行第5号に掲載されています。)
・第2分科会 通常の学級と通級指導教室との連携
話題提供 松園 奈津子 氏(伊万里市立二里小学校)
助 言 日野 久美子 氏(佐賀大学大学院学校教育学研究科)
司 会 竹村 洋子 (国立特別支援教育総合研究所)
藤田 昌資 (国立特別支援教育総合研究所)
第2分科会では、「通常の学級と通級指導教室との連携」がテーマでした。伊万里市立二里小学校の松園奈津子先生から通級指導教室担当としての取組事例をご紹介いただき、連携がうまくいくための工夫やポイントについて、参加者の皆様に協議を深めていただきました。後半は、参加者のご質問を踏まえて松園氏よりコメントをいただき、佐賀大学の日野久美子先生より、連携のねらい、通級による指導で目指すことについて解説をいただいた上で、通常の学級と通級指導教室で連携を進めるためのポイントについて、「連携を深める」、「連携を広げる」という二つの視点からご助言をいただきました。
参加者からは、「実例を挙げながらの話がとても参考になった」、「仕組みとしての連携の仕方を知ることができた」といった声をいただきました。
松園奈津子氏 資料 [374KB PDFファイル]
日野久美子氏 資料 [800KB PDFファイル]
支援レベルシート1(枠説明) [202KB PDFファイル]
支援レベルシート2(記入例) [236KB PDFファイル]
・第3分科会 中学校・高等学校における通級による指導
話題提供 田邊 芳子 氏 (高鍋町立高鍋東中学校)
助 言 半田 健 氏 (宮崎大学教育学部)
司 会 横山 貢一 (国立特別支援教育総合研究所)
記 録 若林 上総 (国立特別支援教育総合研究所)
第3分科会は、「中学校・高等学校における通級による指導」がテーマでした。高鍋町立高鍋東中学校の田邊芳子先生から提供いただいた事例をもとに、「中学校で支援を受けていた生徒が、高等学校でも充実した学校生活を送ることができるようにするためには、中学校及び高等学校においてどのような取組が必要か」ということについて、参加者の皆様に協議を深めていただきました。後半は、田邊氏より、ご自身が実際に関わられた多くの事例を挙げながら、中学校と高等学校で連携した引継ぎの在り方について解説をいただき、最後に、宮崎大学の半田健先生より、思春期の生徒に対する指導・支援のポイントと、階層的な校内支援体制の構築による特別支援教育の推進についてご助言いただきました。
参加者からは、「実践的な話を聞くことで今後の取組の参考になった」、「自分にはない観点でのお話を聞くことができて良かった」、といった声を多数いただきました。
助 言 半田 健 氏 (宮崎大学教育学部)
司 会 横山 貢一 (国立特別支援教育総合研究所)
記 録 若林 上総 (国立特別支援教育総合研究所)
第3分科会は、「中学校・高等学校における通級による指導」がテーマでした。高鍋町立高鍋東中学校の田邊芳子先生から提供いただいた事例をもとに、「中学校で支援を受けていた生徒が、高等学校でも充実した学校生活を送ることができるようにするためには、中学校及び高等学校においてどのような取組が必要か」ということについて、参加者の皆様に協議を深めていただきました。後半は、田邊氏より、ご自身が実際に関わられた多くの事例を挙げながら、中学校と高等学校で連携した引継ぎの在り方について解説をいただき、最後に、宮崎大学の半田健先生より、思春期の生徒に対する指導・支援のポイントと、階層的な校内支援体制の構築による特別支援教育の推進についてご助言いただきました。
参加者からは、「実践的な話を聞くことで今後の取組の参考になった」、「自分にはない観点でのお話を聞くことができて良かった」、といった声を多数いただきました。